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✏️グラレコで「魔法円(マジックサークル)とは?」というテーマを描いてみた

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魔法円(マジックサークル)との出会い

先日、ボードゲームに関するtweetをする流れで、「マジックサークル」について教えていただきました。

ドロッセルマイヤーズ渡辺さんの記事

この記事によると、「魔法円(マジックサークル)」という言葉に、大きな意味を持たせたのは、「ルールズ・オブ・プレイ」という本ですが、元はホイジンガの「ホモ・ルーデンス」から引用した言葉とのことです。

遊びに関する名著「ホモ・ルーデンス」

実は、この「ホモ・ルーデンス」は、遊びについて本格的に語る名著として知られていて、私自身も何度か読もうとチャレンジしていますが、何度もくじけています。それでも、おそらく最も重要な第1章だけはなんとか読んだんですよ。直近では、2019年に入院した時に結構しっかり読んで、読んだことがわかるように、3色ボールペンで書き込みもしました。

だから見つけられると思って、「魔法円(マジックサークル)」についての記述を探したのですが、見つけられませんでした。下のtweetは、その敗北宣言です。

とは言え、それを真面目に読んだら、めちゃくちゃ大変なので、「ルールズ・オブ・プレイ」を静岡県立中央図書館で借りて確認しました。「魔法円(マジックサークル)」は、第9章で丸ごと1章を使って論じられていました。引用元を見ると「ホモ・ルーデンス」の53ページとありました。

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あーここかー。というか「魔術の円陣」5文字だけかー。というか「魔法円」じゃないし。完全に見逃してました(蛍光ペンは今回入れました)。

さらに残念なことに、上のtweetにもこのページしっかり写ってました。それでも見逃した自分が情けない。でも、これで、「マジックサークル」を見つけることができました。

グラレコしてみてわかったこと

今回は、この「ルールズ・オブ・プレイ」の中の第9章「魔法円(マジックサークル)」について、グラレコでまとめてみました。やってみてわかったのは、

・いきなり読んで理解してまとめるのは難しい
・理解できないことはまとめられない(当たり前か)
・今回描けた部分についても理解が浅い気がする
・じっくり読むことで「あれ?ここはおかしいかも?」と著者の論理の組み立て方に疑問を持つことができたり(逆に自分の読み方が浅いのかも?)

と、いろんな気づきがありました。でも、これは休日の時間を使ったからできたようなものの、平日には無理だな、と痛感しました。普段は、自分が理解できていることを題材にしてグラレコの練習をしようと思います。

ホイジンガの「遊び」と本書の「魔法円」との差異に注意

ホイジンガは、「遊び」全般を扱っています。その中に、ゲームも含まれるし、「汽車ごっこ」、スポーツや儀式、祭礼、裁判までもが含まれます。今回、「魔法円」が出てくるのは、「遊びと聖事とのあいだには異なったところはない」という文脈の中で

つまり、神聖な行事は遊びと同じ形式で執行されるのだから、奉献の場を形式上遊びの場から区別することはできない。競技場、トランプ卓、魔術の円陣、神殿、舞台、スクリーン、法廷、これらはどれも形式、機能からすれば、遊びの場である。それはその領域だけに特殊な、そこにだけ固有な、種々の規則の力に司られた、祓められた場であり、周囲からは隔離され、垣で囲われて聖化された世界である。現実から切り離され、それだけで完結しているある行為のために捧げられた世界、日常世界の内部にとくに設けられた一時的な世界なのである。(「ホモ・ルーデンス」ホイジンガ著/高橋英夫訳、中公文庫版35p.)
*「ルールズ・オブ・プレイ」の中でも同じ部分は引用されているが、より原典に忠実と思われる原著の方を選んだ

と書かれた中の1箇所です。一方、「ルールズ・オブ・プレイ」では、ゲームと現実世界との境界を論じる第9章「魔法円」の中で、スティーブ・スナイダーマンの「ゲームの枠(フレーム)」という考えと、マイケル・アプターの「防御枠」という考えを引用し、「この枠を魔法円(マジックサークル)と呼ぶことにしよう。これは、ヨハン・ホイジンガの遊び論に触発された言葉である」と定義します。その上で

なるほど魔法円は、ホイジンガが挙げた一連の「遊び場」に登場する一例にすぎない。だが、この用語は、ゲームによって作り出される特別な時間と空間という考え(アイデア)を端的に示すために持ち出されている。魔法円が、まさに円陣であるという事実は、この概念の重要な特徴である。閉じた円として取り囲むこの空間は閉じており、現実世界から分離されている。時間の目印としては、魔法円は時計のようなものだ。つまり、そういうものがない場合は別として、始まりと終わりの道筋を同時に表している。魔法円は、繰り返しがきく空間、限りのある空間と限りのない空間をともにその内側に蔵しているのだ。要するに、無限の可能性がある有限の空間なのである。(「ルールズ・オブ・プレイ(上)」ケイティ・サレン/エリック・ジマーマン著、山本貴光訳、192p)

と、差し示すものの違いを認めた上で、「だが、この用語は、ゲームによって作り出される特別な時間と空間という考え(アイデア)を端的に示すために持ち出されている」と、やや我田引水的な論を展開します。実際のところ、それを端的に示しているのは「トランプ卓」の部分で、「魔術の円陣」は文字通り魔術の円陣(それが何かはわかりませんが)を指していると思われます。ただ、「魔法円(マジックサークル)」の空間的・時間的要素に注目して、「ゲームの枠」を表すものとしてこの言葉を使うのは悪くないと思うし、むしろ著者のゲームに対する愛情が感じられていて好きですね。

ただ、ホイジンガのいう「遊び」と「マジックサークル」は、違うことをよくよく心に刻んで読み進めないと、混乱することになるので注意が必要です。というのも、この後もホイジンガの引用は何度か登場するからです。その度に、「ホイジンガは『遊び』について語っているはずだ」と思って読まなければなりません。これ以上の考察は、ちょっと大変なのでしませんが、「卒論でこういうことやれたらよかったなー」と農学部卒なのに妄想しています。

今回のグラレコ作成メモ

・下書きは、紙とエンピツ
・Officeレンズを使ってスマホで撮影
・USBケーブルでMacに取り込んでから、Photoshopで開き
・「背景」レイヤから一般レイヤにしてから、自動選択で文字以外を削除
・新規レイヤを下に敷いて、白で塗りつぶし
・さらにもう1枚レイヤを敷いて、3色で色塗り(今回は色数増やしました)
・画像サイズを幅1,000pixelにして、png書き出し

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