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ダラス空港で奇跡的に人生で初めてモーゼになった話。

数年前だけれど、
1.5泊4日でアメリカの
フロリダに行ってきた。


1.5泊ってだけで
だいぶ驚かれるが、海外日帰りなんて
別に珍しくもなんともない。


用事が終わったら帰るだけなのだ。


その時は、例外なく仕事で行ったのだが
思ったよりスムーズに終わって
いつもよりはゆっくりと過ごすこともでき
自由な時間も取れたし

いろんな意味で私的には非常に濃くて
素敵な時間となった。


とはいえハプニングが起きるのは
私の人生にはつきものだ。


道中は何事もなく穏便な日を過ごしたのだが
帰国の日、空港で私が
荷物検査に並んでいた時のこと。


列はガラガラで、ロープだけが
暇そうにプラプラと
ここに並ぶんですよ〜といわんばかりに
配列されていた。


ロープで仕切られた順路を半分くらいまで
進んだところで
私は、ふと気になることがあったので
改めて質問するために
航空会社のカウンターに戻ることにしたのだ。


ロープで区切られた
クネクネした無駄に長い順路を戻るより
すいっとロープをの下をくぐった方が
早く外に出られると思った私は
私はディズニーランドで
あまりの列の長さに
途中で諦めたお父さんのように
ロープをくぐってひょいっと
列から外れた。


すると、すぐに
メガネをかけたツルッとした頭の
ガードマンがつかつか私のもとにやってきて
私に何やら怒鳴ってきた。


お前は悪い!
お前は間違っている!
正しく出ろ!


みたいなことを言っている。
私はそんなに怒ることかしら?
とぽかんとガードマンを見ていたら


指を刺してきて
さらに威圧的に


お前は悪い!
間違っている!


と言ってきたので


はいはい、すんませんでしたね〜
という感じで


おーけーおーけー
あいみすとぅっく〜
そり〜


と行ってそれ以上つるさんに何も言わなかった。
それにしても世界のどこにでも
正義感の強い人はいるものだわ〜と
感じ悪さを感じながら
すぐにカウンターに戻った。


私が気がかりだったのは
乗り継ぎ。


この乗り継ぎの時間が
1時間足らずしかないのだ。


しかも乗り継ぎする空港はとても広くて
空港内をモノレールのようなもので
移動しなければならない。


さらに、点検のために
出発が遅れるというアナウンスもあった。
それに加えて、
着陸したらすぐに降りられるように
私が事前に押さえていた前の方の席が
なぜか変えられていて
一番後ろになっている。


うーむ。
どうしたものか・・・・。
乗り継ぎ間に合うのか。
とカウンターに引き返したのだ。


あれやこれやと席を変えられたクレームやら
事情を話して交渉したが席は変えてもらえなかった。
予約って何かね??


もはや
自分の強運に頼るしかないのかっ!!


悶々としながら
飛行機に乗り込んだ。


そして機長が点検で遅れた分
ぶっ飛ばしてくれることを
祈るだけだったが
それも叶わぬ願いだった。


着陸するわよ〜のアナウンスが来た時には
次の乗り継ぎ便出発まで
30分もなかった。
私は流石に不安になってきた。


飛行機は着陸はしたがまだ止まらない。


さらに私は一番後ろの席。
飛行機の中は人で溢れかえっている。
私は出るのもきっと一番最後。


いやー
まじで間に合わんくね〜???


と思った私は、ふと思い立って
すぐ後ろで仁王立ちしていた
ウーピーゴールドバーグに似た
CAさんに助けを求めた。


すみません。
実は、乗り継ぎするのですが
間に合うか心配してます。
この飛行機を降りてから
乗り継ぎの飛行機まで
どのくらいかかるかわかりますか?


と質問した。


マンツーマンで英語習っててよかった。


ウーピーさんは
オッケー!と真剣な顔をして
自身のスマホで何やらチェックし始めてくれた。


私に、何時の飛行機なの?
どこにいく便?などの質問をした後
私の乗り継ぎ便が
どこのターミナルで
どこのゲートかを教えてくれたのだ。


間に合うわよ!大丈夫!
とニコッとしてくれたのはいいけど
絶対にそれは励ましだし
願わくばの話だし
確実性なんてかけらもないように感じた。


刻々と時間は過ぎていく。
乗客は全く降りる気配はない。
したがって私も降りれない。。。


どんどん時間は過ぎていく。

残り30分


残り25分


残り20分を切ろうかと言う時
じーっと天井を見ながら
間に合わなかったら
どうしようかな。


まぁ、お金はどこかで下ろしたら
何かの便では帰国できるか。


乗れなかったらそれはそれで
また面白いかも。


なんて思っていたら


その時!
機内に声が響いた。


ウーピーさんがマイクを使って
機内放送でなにやら言っている!!!


は〜い!
みなさん〜。
ここにいる黄色い帽子をかぶった少女が
乗り継ぎに間に合うように
道を開けてあげて〜


機内がざわついた。

え?どこどこ?
機内客が振り返って私をみる。


黄色い帽子の少女。。。


飛行機の窓に映った私は
確かに黄色いキャップをかぶっている。


だが、少女ではない。


ん?? 私のことか???


ウーピーさん?今私のこと言った??


ウーピーさんを見ると
ウーピーさんがシッシッと
ウインクしながら手を振っている。


通常シッシッは本当に嬉しくないけれど
この時のシッシッジェスチャーは
本当に嬉しかった。


ウーピーさん!!!ありがとう。


機内通路には前が見えないくらい
人が溢れていたのに


一気に私の通る道が開かれた!!!


私は感謝を伝えながら
パンパンに膨れ上がったリュックを
かついで機内を駆け抜けて行った。


人生でモーゼになったのは
後にも先にもこの時が初めて。


途中で
グットラック!
間に合うといいね!
がんばれ!
なんて声援を受けながら
私の黄色い帽子に気づいてくれて、
乗客はどんどん
道を開けてくれた。


せんきゅ〜
せんきゅ〜


モーゼの気分を味わったところで
私は無事に飛行機を降りることに成功した。


あ〜なんて私は運がいいのだろう。
異国でこんなに親切に、しかも
励まされるなんて。


英語、ちょっと勉強してて良かった。
そんなことを回想しながら
無事にモノレールにも乗ることができ
ターミナルへ到着。


離陸10分を切ったところで
最後の一人で飛行機に
乗り込むことができた。



グランドホステスさんに
遅いですね!なんて言われた気もしたが
そんなことは無視だ!


こんなに短期間のしかも
仕事の出張で
帽子なんかかぶっていかないけど
なぜかフロリダには
この黄色の帽子を持って行こうと思った。


邪魔にしかならないし
帰るが帰るまで本当に
なんで持ってきたのかわからなかったけど
ウーピーさんと乗客にPRするためだったのかと
自分の直感にこぎつけることにした。


私の直感万歳。

それにしても。
黄色帽子の少女って。
ねぇ。。。

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