下のネタをお話になる時の心得
車を運転している時は
大体FMラジオが流れている。
どの局かはだいたい決まっているので
聞こえ慣れた声が聞こえてくると
あ〜もう1週間経ったのか。
と思ったりもする。
その時聞いていたラジオは
ソロで話している、とあるアーティストが受け持っている番組。
リスナーからの質問に答えている時間だった。
夜、とは言えないが
太陽はすっかり沈んでしまっていて
辺りは暗かったし
多少の下の方のネタを話してしまっても
良い時間帯だと思われた。
そのパーソナリティの方は
リスナーからのお便りに沿って
少し下の方のネタを楽しそうに話されていた。
それはいい、内容については言及しない。
内容についての云々は
私よりも放送局の方が敏感だろうし
ダメな場合は生放送以外は
きっとカット(あっ)されたりもしているだろうし。
あれこれ言う立場でもないし。
だが、どうしても気になることがあった。
どうしても引っかかって仕方がない。
数多ある言葉のなかで
いろんな表現があるなかで
どうしてそれを選んだんだろう。
国語的な意味としては
申し分ないし
文語・口語表現としては正しいのかもしれない。
品も他の単語よりはあるのかもしれない。
でもなんだか耳障りが良くなくて
なんとも言えないねっとりしたものが
私にまとわりついて
一瞬固まってしまった。
ただ私が聞き慣れてないだけなのかも
私のただの拒否反応なのかも
ぐるぐると瞬間的に
頭をいろんな考えが駆け巡る。
いや、どんなたいていの
下の方のネタには
ポーカーフェイスで受け止めてきた(ノっては話さないけど)
相手がボッチにならない
浮いてしまわないくらいの反応は
この年齢で身についている。
でも引っかかってしまった。
通常の対面会話で言われたら
絶対に顔が引きつったと思う。
その方は言った。
うっ
うっ
なんでその単語?
私は、時としてその単語が持つ独特な雰囲気に
好感を抱いたり、またはその反対の印象を抱いたりすることがある。
今回は後者。完全にちょっと引いた。
言葉選びには自分なりに留意していて
普段からも他者の反応を見ながら
対話においての言葉選びを
ブラッシュアップしたりもしているが故に
その言葉が放つ強烈な印象にやられてしまった。
何かの見過ぎなのかもしれない。
私の周辺でも耳にすることのない
この単語の印象たるや
薄紫とピンクのグラデーションで彩られた
明朝体のその言葉が
ねっとりと私にまとわりつく。
抗体がない
どうしよう。
とはいえ、これは私の趣味嗜好の問題で
パーソナリティに落ち度はない。
言葉のセンスとか
価値観とか、あり方とか
個性の分野の話だと思うし。
しかし、
どうして
いつもエロいこと考えているんです。
じゃなくて
いつもやらしいことを考えてるんです。
じゃなくて
いつもスケベなことを考えているんです。
だったんだろう?
可能ならなぜその言葉をチョイスしたのか
尋ねてみたい。
聞き慣れないその言葉に
私はあたってしまった。
急に生々しさというか
湿度というか粘土というか
質感が変わったというか
この方がどうこうということではなくて
きっとこういう
わざわざ言葉に出すほどのことではないが
なんとなく抱いた違和感
みたいなものが積み重なって
対話をしている最中に
好感になったり
嫌悪になったりするのではなかろうか。
話が上手いとか
ウィットに富むとかという言葉に
表現されると思うが
好感を持たれる人ってのは男女問わず
その辺の質感の良い言葉をさらっと使っていると思う。
べっとりと何かしらの爪痕は残さない。
誰だってケチャップをかけられるより
サラサラといい香りの
すぐ乾くシミにならないものがいい。
下のネタを連発しても
気持ち悪がられない人と
気持ち悪がられる人の違いも
この辺りの「言葉のチョイス」が絶妙に違うんだと思う。
どんな言葉を使っても
個人の自由ではあるが
普段使っている言葉が相手にどんな
感触を与えているか?までは
考えていきたいものだと
そんなふうに思った次第である。
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