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赤くて熱い有馬温泉の秘密 #97

有馬温泉と聞くと、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。
「金の湯」「炭酸せんべい」「秀吉」など、様々な単語が浮かびあがってくるであろう…
しかし、その理由や背景をご存じだろうか。
筆者は、5回ほど有馬温泉にお世話になったが、正直、有馬温泉の地質や歴史をさっぱり知らない。雑学力を上げるため、古くから多くの人に親しまれてきた有馬温泉についての知識を身に付けておこう。

いつから有馬温泉が有名に?

まずは、有馬温泉の歴史を簡単に紐解いていこう。”有馬温泉”という言葉が初めて歴史書に登場するのは、なんと1400年近くも前。その言葉が書かれているのは、皆さんご存知の日本書紀である。日本書記の記録によると、舒明天皇(593-641)や孝徳天皇(596-654)が有馬に行幸され、温泉を楽しまれたとのこと。その後は、和泉式部、豊臣秀吉、モナコ王妃ら等、そうそうたる人物が訪れている。その中でも、かの有名な戦国武将、豊臣秀吉は、大の有馬温泉好きだったという。

なぜ秀吉が有馬温泉好きなのが分かるのかって?
どうやら、その答えは町に隠れているようだ。

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写真 https://www.nta.co.jp/media/tripa/articles/Lz1OR

有馬温泉は、六甲山の谷筋で栄えた温泉街。昔は川が流れていたのもあって、上の写真のように道は蛇行し面積は狭い。そのような土地をなるべく有効利用するため、軒を接して並べて、1階はお店で2階は宿泊所にしていたという。近年では、2階の宿泊所はあまり見かけなくなったが、1階のお店は大変活気があり、昔ながらの風情が残る大変貴重な場所である。

そんな谷筋のくねくねした道を歩るいていると、ふと直線の道が出てくる…
その直線の道は江戸時代の地図にもみられるとのこと。。。。

自然に作るとくねくねする谷筋に、、
江戸時代という太古にまっすぐな道にできるなんて…と驚かされる。

温泉街を直線にする、そんなことができる人、、
そう、それが、、、

豊臣秀吉なのです。地形に抗う武将、秀吉。
(秀吉が直線の道を好むことは、京都伏見の町づくりからも知られている。)
町を変えるほど、秀吉は有馬温泉がお気に入りで、有馬を自分の領地にしたそうだ。

有馬温泉には、秀吉の作った有馬温泉の湯舟が残っている。今では想像できないが、江戸時代頃は一度に多くの人が入るようにと、温泉は立ち湯(立ったまま入るスタイル)だったという。秀吉の作った有馬温泉の湯舟は、深さは65cmで当時としては画期的な方法(腰を下ろして入るスタイル)で作った。この背景としては、作った時の秀吉は既によぼよぼだったため、立って入るのが辛かったからではないかと言われている。

秀吉好きの歴女には、魅力的なポイントではないだろうか。

有馬温泉の成分とは?

有馬温泉の特徴は、”赤くて熱い”にある。だから、湯舟のお湯も真っ赤、町もいたるところが赤くなっている。この赤の正体は何なのだろうか。
有馬温泉の中に、何の成分が入っているのだろうか。と好奇心が掻き立てられる。

温泉の泉源(である天神泉源:金の湯や旅館に送るために源泉の湯をためておく場所(井戸))の中を見てみると、お湯は真っ赤ではなく真っ黒だった。ここでピンと来た人は、相当理科好きの人であろう。
そう、赤の正体は酸化鉄だったのだ。鉄には保温効果があるため、酸化鉄のお湯に浸かると体の芯まで温まれる。その他にも有馬温泉には、白い結晶が析出している。この白の正体は、家庭でも使うで、なんと有馬温泉は約4.6%もの塩を含んでいるそうだ。スポーツ飲料が約1%、海水約3%なので、どれだけ濃度が濃いかが分かるだろう。濃い塩分のお湯には、肌に膜を作る保湿効果があるそうだ。
その他にも、炭酸ガスがたっぷり含まれている。炭酸ガスは、血管を広げ、血行を良くする働きがあるという。このような、3つの成分が高い濃度で含まれているのは、世界有数でありそれが有馬温泉の特徴である。

保湿を高めたい人、治癒したい人は有馬温泉を試してみよう。

有馬温泉の泉源とは?

有馬温泉の近くには、白水渓というケイコクがある。そこで見られる白い花崗岩(六甲山は花崗岩が多い)には、無数の亀裂と赤い線が存在し、岩から温泉が染み出た形跡が残っている。

岩の亀裂は、有馬ー高槻断層帯の断層活動によって出来たと考えられており、その岩にできた無数の亀裂が地表に温泉をもたらしている。亀裂が、いわばパイプやホースのような役割をしているようだ。

通常、温泉の熱源は火山だが、有馬温泉の場合は火山じゃない。火山より、相当深い所から熱源が来ているのである。
その熱源の正体は、実は地下深くに存在する600度のマントル

プレートの沈み込み帯の影響により、海水がマントルの影響で熱水に代わり岩石の間から染みてできているという。

また、マントルは、プレートの上に積もったサンゴの死骸でできた石灰岩をも分解し、炭酸ガスを発生。炭酸ガスは、地中の鉄分をお湯に溶かしながら上昇、一緒に鉄を地表にもってくる。岩石があれば、必ず鉄分が入っているし、海水よりも、塩は濃縮されてでてくる。プレート内で発生した温泉は、600万年という長い年月をかけて温泉になって地表に出てくるようだ。

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写真 https://service-news.tokyo/buratamori-arimaonsen-16035

お湯のタイプカプセルの有馬温泉。さあ、マントルの水に浸かりに行こう。

有馬の炭酸せんべいって?

有馬温泉に行ったら、絶対に目にする炭酸せんべい。ほんのり甘く、どこか懐かしい味のせんべいだ。炭酸せんべいなのに、炭酸みたいにしゅわしゅわしないぞ!と思った人が多数いることだろう。それもそのはず、炭酸は我々が食べる時にはもう抜けている。というもの炭酸せんべいは、炭酸水で材料を練って作られているが、炭酸はふくらし粉の役割で焼く時にさよなら~なのだ。

どうも、明治時代に神戸に住む外国人が、健康のために有馬の炭酸水に殺到した時期があった。それを見た地元の人が、炭酸水で材料を練る炭酸せんべいを考案したという。”炭酸水入り”せんべいは、炭酸水ブームの外国人に大うけだったのだろう。

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写真 https://www.yunohana.jp/

この記事を書く上で、”ブラタモリ#97有馬編”を参考にさせて頂きました。


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