今回の33GAKUマガジンでは、 AIを用いたシステム開発・運用による事業支援や、医療・製薬分野における研究・開発支援を行う「Search Space 株式会社」(本社:東京都渋谷区)の代表取締役 後藤 良輔さんに取材をさせていただきました。 後藤さんの働くことへの思い、これまでの失敗談や学んだこと、起業して良かったことなどが詰まっています。 記事を読んだ後、後藤さんと話したくなることまちがいなし! 「Search Space 株式会社」公式ホームページ→https://searchspace.cloud/
◆企業概要 2019年設立。 会社のビジョン:「社会課題の解決に有効なツールを提供し続ける」
Search Space 株式会社は、ライフサイエンス・医療と建設・インフラ分野で、実用的な製品と最先端研究の両面から実績を重ね、AIの会社でありながら、医療と建設分野の2軸をメインに事業を展開しています。 現在は数名のエンジニアチームとバックオフィスのチームがあり、フルリモートで事業を進めています。
~事業例~ ・AIを活用しレントゲン写真から骨折箇所を発見するシステムの提供 ・AIによる脳ドックの結果分析とレポートの作成 ~研究例~ ・てんかん発作を発見する研究(カリフォルニア大学のデータで実施) ・骨粗しょう症を発見する方法に関する論文の執筆(香川県の病院の医師と共同)
なかでも今一番力を入れているのが、 東京大学と共同で行っているダムのひび割れを発見する取り組み。 コンクリート外壁を撮影し、自動でひび割れを検出する技術を使用しています。
このような様々な技術を集約した製品として「センサー」を提供しています。いろいろな所にセンサーを設置し、橋の揺れや川の水位の変化、気温の変化をクラウドに集めて予測することが可能。 今後この製品を、福島県のダムに流れ込む水の予測システムに使用していくそうです。
◆現在の事業に至った経緯は、後藤さんの得意なことから医療や建設分野の事業を任されたのか、それとも、後藤さんの使命感から今の分野へ技術を提供しはじめたのか、どちらが近いですか? 両方だと思います。 もともとAIの会社にいたので、医療の仕事の紹介を多くいただいていました。 医療分野に特化することもできたけれど、社会的に役に立つことをやろうと思っていました。その中で、建設分野やインフラの点検には深い課題があることに気づき、自然とそちらへと足を伸ばしていった感じですね。『世の中の役に立つようなことじゃないとつまらない』と思っているんです。 お金を儲けていても、「何の意味があるの?何のためにやっているの?」と言われて働くのは気持ちが盛り上がらない。 「自分たちの頑張りがこういう人たちの助けや力になれている。」と言えた方が、一緒に働いている人たちも気持ちよく働くことができるじゃないですか。 その方が会社としても良い流れが生まれて経営しやすい。仕事としてやるからには、『あって良かった』と必要とされるものが嬉しいです。
◆今後、松本にも社会インフラの面で寄与していきたいと考えられていますか? そうですね。Search Spaceでは、様々な地域へ広く展開していける技術や製品を模索しているけれど、松本の事業者さんや松本の方たちにはできるだけ早めに、事業や技術をお伝えしたいです。 そして一緒に何かをやっていく中で、松本の街へ貢献できたらいいなと思っています。
◆地元の行政や大学教授の研究と繋がり、事業を拡げていきたいと考えていますか? そうですね。ただ、個人的には、行政や大学の予算を使って会社を経営していきたいとは考えていないんです。 自治体の方々には安い金額で製品を提供して、海外の政府にしっかりと売り出していければ、一人一人が出す金額は少なくても会社として爆発的にスケールを広げていけると思っています。むしろその方が社会的にも正しいと思っています。自治体の予算を大きくいただくのではなく、安い金額にすることで社会へ普及させていく 。その方が、より多くの人々の助けになって社会的な貢献になると思っています。だからこそ、今は製品を作りたいんです!
◆今後の会社の成長はどのようにお考えですか? 結論から言うと、会社の成長はあまり考えていません。 製品が行き渡ることや、爆発的にコピーされていくことは重要だけれど、 会社の人員が急激に増えるということは手段でしかないと考えています。 会社のソフトウェアを世界中に供給するために、それに必要な人員へとじわじわ近づけていこうに考えています。 急激に成長することのデメリットもあると考えているので、会社としての面白さと、製品の質を落とさないスピードで速く成長していく ということを、その場その場で考えていく必要があると考えています。 とにかく面白く働ける職場にしたいんです!!
◆仕事上で挫折経験や失敗談はありますか? 過去にAIの会社の取締役をしてくれないかと頼まれ、引き受けたことがありました。ただ、結果として半年くらいで辞めてしまいましたね。。。 どんなに個人の技術や能力が高くて、挑戦したい事業が同じでも、 根本的な組織に対する考えや仕事のスタイルが違うと合わなくなりますね。 個人のスキルや性別は関係なく、仕事で大切なことに同意できる人 でないと共同責任者として事業を進めることが難しいと感じました。
◆この先チャレンジしたい分野やマーケットはありますか? そうですね。これまで、製品だけで収益を上げるモデルに挑戦したことがないので、今後は to B で、製品を中心とした展開に大きくシフトしていこうと少しずつ動いています。
◆起業されて、身についたことやプラスだったことは何だと思いますか? 起業して実現できたことで考えると、すべてが自分の責任にはなるけれど、自分の好きなように仕事や事業を進めていける点 です。 「社会彫刻」という概念で、 「すべてのビジネスは社会の中の作品」という考えがあるんです。 僕らは社会とかかわる中で、仕事という作品を残しているという発想です。 実は昔、油絵を描いていたのですが、途中で方向転換して新しく仕事を始めました。仕事がだんだんと楽しくなってきたときに、その理由を考えてみると、「仕事の中で自分を表現していることが好きだからだ」と気づいたんです。 プロジェクトを完全に仕上げたり、コードを書いて動くものを仕上げたりすることが自分の作品になっています。今後もこだわってやっていきたいです。そんなふうに、自分の作品を仕上げられるのが良いなあと感じていますね。 自分の仕事には愛着があるんです!!
インタビューは以上です。 後藤さんの現在だけでなく、様々な経験もお話してくださいました。 後藤さんの仕事に対する思いがとても伝わってきて、私たちまで胸が熱くなる取材でした! 「自分の仕事に愛着があるんです!」そう言い切れる仕事をする。 あらためて、仕事に対する思いや、仕事を通して実現したいことは何かを考えるきっかけになった時間でした。
後藤さんありがとうございました!
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