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魔法の力で変身!少年がヒーローになるまで 映画「シャザム!」 #549

もしスーパーヒーローになれたら、何をしたいですか?

ヒーローオタクのフレディは、「空を飛びたい? 透明になりたい?」とたずねます。足が不自由な彼にとっての夢は、自由に走り回り、空を飛び、人々に注目されること。

では、そんなヒーローが目の前に現われたら、何をしたいか。

まずは特殊な能力を見せてほしいよなー。

DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)の7作品目は、見た目は筋肉ムキムキのオッサンだけど、中身は14歳の少年というヒーロー「シャザム」の誕生物語です。主人公が、とつじょ、魔法の力で変身させられてしまった少年ビリーなので、これまでの作品群よりもコメディ要素が強め。いまのアメリカにおける“家族”についても考えさせられる映画でした。

<あらすじ>
幼い頃、遊園地で母とはぐれてしまったビリー。里親のもとを転々として育つが、ある日、謎の魔術師からスーパーパワーを与えられ、「シャザム」に変身できるようになる。ヒーローオタクのフレディと一緒に力を検証し、悪ノリ全開で遊んでいた。そんなビリーの前に、魔法の力を狙う科学者Dr.シヴァナが現れ、フレディを拉致。ビリーは、ヒーローらしく戦うことを決意するが……。

アメコミに疎いわたしには、「ジャスティス・リーグ」で登場した「フラッシュ」と、「シャザム」の違いが分かりませんでした。下のフィギュア、左の赤いムキムキが「シャザム」、右の赤いムキムキが「フラッシュ」です。えーと、見分けるポイントがヘルメットくらいしかない……。

シャザム2

その上、「シャザム」の昔の名前は「キャプテン・マーベル」だというんですからややこしい。アベンジャーズの一員である「キャプテン・マーベル」は、名前の通り、マーベル・シネマティック・ユニバースの系列。しかも映画が公開されたのは、どちらも2019年。マーベルvs.DCの対決と呼ばれていたそうです。こちらは色が違ってよかった……。

キャプテン・マーベル

(画像は映画.comより)

1940年にコミックスに登場した当時は、ホームレスの少年(ビリー)&ムキムキのオッサン(キャプテン・マーベル)という別人格だったそう。それが変身しても中身は少年のままという設定に変更され、現在の「シャザム」になりました。

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(画像はIMDbより)

「シャザム」を演じたザカリー・リーバイは、週に6日のトレーニングによって11kgもの筋肉を付けて変わり種のヒーローを熱演。中身は14歳の少年なので、「指から光線が出たよ!」「ピストルにも負けないじゃん!」「見た目が大人だからお酒も買えるぜーい!」と大はしゃぎしています。

「どんな能力を持ってるの?」と聞かれて、「どーやってオシッコするのかも分からないのに!」と回答するほど、序盤はドタバタコメディです。

この時、孤児として育ち、誰とも親密な関係を築こうとしなかったビリーが、初めて笑顔を見せます。というか、外見はオッサンだけど。

DC映画の主人公は、「弱くない」ことが特徴なのかもしれないと以前書きましたが、これはキャラクターに普通の“人間”が少ないせいかもしれません。スーパーマンはクリプトン星の人だし、ワンダーウーマンは神の子だし、アクアマンは海底国の人。バットマンは“人間”ですが、自分の意志で武装しました。

その点、謎の魔術師からスーパーパワーを与えられた「シャザム」は、いたって普通の“人間”です。なんの心の準備もなく、余命わずかな魔術師が勢いに乗って授けたようなもの。その彼が、ヒーローとなる瞬間がすごく好きでした。

現在のアメリカの「家族」感を映すように、ビリーが引き取られた里親ファミリーには、アフリカ系もアジア系も暮らしています。血のつながりはなく、心の絆だけがある。そんな仲間のために立ち上がり、家族とともに闘うヒーロー。

ヒーローって、ひとりで“なる”ものじゃないのかも。

シャザム3

(画像は映画.comより)

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