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ムリゲーなノルマに見出す仕事の意義 『督促OL 修行日記』 #259

「社会人デビュー目前のための本」シリーズの3冊目は、仕事の「覚悟」の持ち方を教えてくれる本です。内容がちょっとヘビーなんですけれど。

トレーニングがんばれ的な根性論ではなく、お仕事内容がヘビー。

クレジットカードの督促コールセンター。

一日中「お金返してください」と電話し続け、「今度電話してきたらぶっ殺す!」と罵倒される、「今からそっち行くから覚悟しとけよ!」と脅される、「主人のストーカーでしょ!」と非難される。

新卒でそんな過酷な部署に配属されたという榎本まみさんの著書『督促OL 修行日記』は、生々しい現場の様子が綴られています。

100人以上いた同期の中で、コールセンターへ配属された13人。あまりの激務にポロポロと離脱者が出るのは、当然のこと。榎本さんも、ストレスから10キロ痩せ、顔中に吹き出物ができ、夜中に発熱して鼻血を出すという生活を送っていたそうです。

なのに、なぜ辞めなかったのか?

先輩から聞いた「督促」という仕事の価値を認識して、覚悟が決まったのだと思います。

融資を申し込んだけれど断られたお客さま。店舗を出たところで意識を失って倒れてしまいます。

救急車を呼んだのに、来てくれない。

その男性が、何度も救急車で担ぎ込まれて医療費を踏み倒す常習犯だったから。

「私たちが相手に嫌われても、怒鳴られても、包丁を突きつけられても、督促しなければならないのは、お客さまの信用を守ることができるから。お客さまの信用を守るのはもしかしたら命を守ることになるかもしれないしね」

督促=信用を守る=命を守る

こういう視点から仕事を捉え直すことができれば、向き合い方も変わります。自分が「最終ライン」だと思えば覚悟も違いますよね。

仕事をするにあたって、先輩がチェックしてくれる、上司が確認してくれる、という考えは捨てた方がいいんです。どんな仕事も、「新人だから」と考えず、自分が「最終ライン」と思って取り組むことをお勧めします。

覚悟が決めて、腹をくくるとやりがいが生まれるんです。

榎本さんも最初のうちは「せっかく内定をもらったし……。おばあちゃんに報告しちゃったし……」と考えていたものの、だんだんと恫喝・脅迫のかわし方を覚え、交渉術を開発していきます。

「1時間に60本の電話かけ」というムリゲーなノルマに泣いていた新人時代から、年間2000億円の債権を回収するようになるんですからすごい。

・謝る時は具体的に
・依頼は疑問形で
・電話トークはツンデレで

などなど、榎本さんの独自メソッドは、他のお仕事にも使えます。

ただし。

身体に不調が出るほど楽しめない仕事には、さっさと見切りをつけた方がいいと思います……。

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