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人生を狂わせる人助けに恐怖する 映画「ザ・コール」 #589

シンデレラガールの演技は、やっぱり強烈だった!

名匠イ・チャンドン監督の「バーニング」でデビューしたチョン・ジョンソ。事務所と契約して3日後に受けたオーディションで、鮮烈なデビューを飾るという超アッパレな俳優です。

出演作としては2作目となる「ザ・コール」で、パク・シネと共演。不穏な空気感を倍増させていました。2020年の3月に劇場公開を予定していましたが、結局Netflixで配信されることになった、という映画です。

<あらすじ>
幼い頃に火事で父を亡くしたソヨンは、その原因を作った母をいまだに許せずにいた。久々に実家を訪れるが、途中で携帯電話を失くしてしまう。家にあった古い電話機を引っ張り出すと、ヨンスクという若い女性から助けを求める電話がかかってくる。ふたりは20年の時を経て通話していることが判明。ソヨンは、父が命を落とした火事を食い止ることを思いつくが……。

1999年を生きるヨンソク(チョン・ジョンソ)と、2019年に生きるソヨン(パク・シネ)は28歳同士の同い年(といっていいのかどうか)。女同士の長電話は、好きなアーティストについてや、母との関係など、尽きることがないですよね。過去にいるヨンソクが宝物を隠して、ソヨンが発見したり、未来にいるソヨンが「トップアイドルのいま」の音源を聞かせたり。楽しそうなんです。……ここまでは。

凄惨な虐待から“助けた”つもりが、そのために人生の歯車が狂っていく。警察も、知恵も、ガジェットも、なんの役にも立ちません。

ヨンソクが熱烈なファンと語るソ・テジは、元祖ヒップホップ・グループ「ソテジ・ワ・アイドゥル」のボーカルです。映画では、2009年に発売された「6集」アルバムに収録されている「ウルトラマニア」が何度も使われています。

ソ・テジも映画を観たそうで、昨年12月24日に、ファンに向けて贈られたクリスマスメッセージで「6集のハードコアな雰囲気とよく合っていた。どっぷり浸かって観た」と語っています。

原作はイギリス・プエルトリコ合作映画「恐怖ノ黒電話」ですが、かなり改変されているそう。「過去と通信ができる」というあらすじを聞いていたので、ドラマ「シグナル」みたいな話だと思っていました。おまけに「過去と通信ができる=未来の出来事が分かる」となれば、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を思い出してしまう。

宝くじの当たり番号を聞け!!!

わたしならそう思ってしまうけど、話はそちらに転がっていきません。韓国映画としてのリメイクだもん。ハンパないです。しかも、チョン・ジョンソの圧倒的な迫力付き。

チョン・ジョンソは小学校1年生の時に「ハリー・ポッター」を観て以来、映画ばかり観るようになり、俳優を志したのだそうです。あのほのぼのファンタジーから、どうやったらこんな演技力が生まれてくるのだ!?

「売れたい」とか「スターになりたい」とか、そんなガツガツ感はまったく感じられないのに、目が離せない俳優です。商業映画デビュー作にして、これだけの才能をコントロールして演出したイ・チュンヒョン監督の手腕もすごい。この方、まだ30歳だそうです。

おそろしい子!!!

今後ますますおもしろい映画をつくってくれそうなので、期待している。


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