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息子に“片思い”する父のスポ根コメディ 映画「レッスル!」 #299

息子に“片思い”するお父さん。

ダンナのお姉さんの夫が、そんな人でした。初めてお会いした時も、ずーっと長男の話。その長男が結婚することになった時も、「嫁がいい子でねー」と言った後は、99%息子の話をしていました。

当の長男はかなり“やんちゃ”な子で、ぶっきらぼーだし、口は悪いしだったのですが、姑(彼にとってのおばあちゃん)に対する態度やわたしへの言動には気遣いが感じられました。

でも、お父さんにはこれ以上ないくらいそっけない。ダンナに聞いたところ、昔からお父さんが息子に“片思い”している状態なのだとか。

そんなお父さんが病気になって療養施設に入った時、ちょっとした事故がありました。知らせを受けて施設に行った長男くん。激しく大暴れをしたそう。

周囲からは“片思い”に見えても、親子にしか分からないものがあったのだなと気づきました。

元レスリング選手のシングルファーザーであるギボの夢は、息子のソンウンが金メダリストになること。息子に“片思い”していたら、突然、自分にモテ期が訪れ……という映画が「レッスル!」です。

<あらすじ>
レスリングの国家代表試合を前に、幼なじみのガヨンに告白しようとしたソンウン。逆に、ガヨンから「お父さんが好き。結婚してあなたの義母になる!」と告白されます。レスリングの代表選手だった父のギボは、息子の金メダルだけが夢。が、傷心したソンウンは、「レスリングを辞めたい」と言い出し……。

昨日ご紹介した「LUCK-KEY」に続いて、名バイプレーヤーのユ・ヘジンが主演を務めた映画です。

「LUCK-KEY」は、分かりやすいコメディなのもあって、観客動員数約700万人の大ヒットを記録しました。が。「レッスル!」の方は、韓国の映画評論家に、

「設定が現実感なさすぎ」

と酷評されました。監督と脚本を担当したのはキム・デウン。日本で公開されているのはこれのみのようですが、監督作はこれが3本目でした。いやー、わたしは現実感のない設定を笑いながら観ましたけどね。

主人公のギボは、かつてはレスリングの選手、40歳になったいまではお腹の出たおっちゃんです。現在はレスリング事務を運営しながら、息子の合宿費を稼ぐために主婦にエアロビクスを教える生活。

レッスル2

そんな彼が突然モテ期に突入。20歳のガヨンにキスされるわ、お見合いした女医に迫られるわ、確かに現実感はないんだけど、必死になればなるほど空回りする姿が笑えました。

ユ・ヘジンは、息子だけが生きがいの父としての姿、モテ期に戸惑うおっちゃんの様子、レスリングシーンまで熱演しています。

ギボの母は女手一つで息子を育て、ギボは男手一つで息子を育てています。それぞれに苦労も思うところもありますが、この3人がソックリなんですよね。

ぜんぜん人の話を聞いてない。笑

レスリングを辞めたいと言い出した息子に、父が言います。

「お前のために言ってるんだ!」

子どもや後輩に注意する時、言ってはならない言葉がこれです。こんな風に言って、ホントに「お前のため」だったためしがない。この言葉は、相手の選択をしばってしまうことがよく分かります。

息子が見ていた父と、父が見ていた息子。父は自分が果たせなかった夢を押しつけているだけなのか。“片思い”の理由が分かった時は、ちょっとホロリとしました。

思い違いを解きほぐすには、やっぱり「言葉」が大事。自分の気持ちを伝えることはもちろんだけど、相手の話を本当に「聞く」こと。これを大事にしたいなと思ったのでした。



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