ダーリン

結婚という異文化理解を笑いで包む 『ダーリンは外国人』#211

「結婚はまさしく、相互の誤解にもとづくものである」

アイルランド出身の作家オスカー・ワイルドの言葉です。いい方に誤解しあっている間は仲良しでいられるのでしょうけれど、誤解から覚めてからが勝負。そこからが本当の「結婚」であり、「人生のパートナー」となれるかどうかが決まるのかもしれない。

同じ国出身者でも常識や習慣は人それぞれ。生活に関わる一つひとつの出来事をすべてすり合わせていくのですから、結婚って本当に一大事業ですよね。

そんなパートナーが外国人だったら。しかもかなり個性的な人だったら。

『ダーリンは外国人』は、出身国・性別の違うふたりの異文化理解を描いたエッセイマンガです。奇想天外なパートナーとの生活に笑いがあふれちゃう。

1巻のこちらは結婚前の時代から、結婚してすぐの頃を描いています。この後、第2巻、with BABY、in ベルリンなど、シリーズ化され、映画化、ドラマ化もされました。

夫のトニー・ラズロさんはハンガリーとイタリアの血を引くアメリカ人ジャーナリスト。トニーさんにとっておふくろの味は「トマト」なので、かわいいもの・ステキなものを見ると「あか~い♡」とほめてくれます。

一方、妻でマンガ家の小栗左多里さんのモットーは、「トニーとの勝負には負けないこと」。指相撲のかわいい闘いから、トニーを驚かせる作戦、そしてケンカした時の仲直りの方法など。トニー&左多里流の夫婦のルールが綴られています。

トニーさんは日本にいたころ、NGO活動などもされていたようですが、

(こんなに純粋な姿を公表しちゃって、ジャーナリスト活動に影響はないんだろうか……?)

と心配になるくらい、かわいい!!!


我が家は今年で結婚20年になります。最初のころはケンカもたくさんしました。いま考えてみると、あれは共同生活のルールを作る過程だったのかもしれない。

結婚したばかりの後輩から相談を受けた時、「ケンカすることが怖い」と話していました。そこで冒頭のオスカー・ワイルドの言葉「結婚はまさしく、相互の誤解にもとづくものである」を紹介し、「誤解したまま50年、生活できる?」と聞いてみたんです。

「もっと話してみます」

後輩は決心したようでした。ケンカを怖がっていてはコミュニケーションはできません。仕事でも、家庭でも、チームの中では必要な工程だと思います。トニー&左多里流のやり方は、ひとつの好例になるかも。とにかく笑っちゃうし。

最後に、オスカー・ワイルドのもうひとつの名言を。

「誰でも愛される価値がある。もっとも、“自分こそそうだ”と思い上がっている者は別だ」

いつも心に感謝を。そして感謝は言葉にして伝えよう。

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