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チャラ男が愛される理由 映画「素晴らしい一日」 #518

機嫌のいい人といると、気分がいい。おちゃらけていても、だらしなくても、「不機嫌」をぶつけてこられるよりは、よっぽどいい。

映画「素晴らしい一日」でハ・ジョンウが演じたビョンウンが、まさにそんな男でした。ハ・ジョンウは、自分がこれまで演じたキャラクターの中で、ビョンウンが一番自分に近いと語っています。また、映画監督のパク・チャヌクも、ハ・ジョンウの出演作の中でこの映画が一番好きなのだとか。お調子者なのに、なぜか愛される男なんです。

<あらすじ>
仕事も恋人もなく、貯金も底をついた30代の女性ヒスは、1年前に別れた男ビョンウンに貸したままの350万ウォンを返してもらうため、競馬場へ向かう。能天気で甲斐性なしのビョンウンを信用できないヒスは、ビョンウンの知人の女性たちを訪ね歩く旅に同行する。

原作は、平安寿子さんの短編小説です。原作は読んでいなかったので、すごく読んでみたくなりました。監督はデビュー作がベルリン国際映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞して絶賛されたイ・ユンギ。

わたしは東京の隅っこに暮らしています。隅っことはいえ、いちおう「都会」と呼ばれる地域。古くから住んでいる人が多いですが、代替わりしたりしているので、近所づきあいなんてほとんどありません。

だからいざという時、「助けて」と言える人っていたっけな?と考えてしまいました。

とにかくお金が必要なヒスにとって、ビョンウンは嘘ばかりつく能天気で信用ならない男です。でも、ビョンウンにお金が必要と分かると、あからさまに見下すマダムや、昼間からバーベキューに興じる家族、いっぱいいっぱいの生活をしているシングルマザーたちが、お金を出してくれるのです。

なぜビョンウンはこんなことができるんだろう?

たぶん彼には、中途半端なプライドがないからなのかもしれない。お調子者だけど自分を偽ることはない。ホラは吹くけど、自分の気持ちに嘘はつかない。だから常に機嫌がいいんですね。そして、ひとたらしの術がプロ級。

最初は険悪だった元カノを演じるチョン・ドヨンの表情。新旧の移り変わりを感じるソウルの町並み。ロードムービーとしても絶品の映画です。

チョン・ドヨンが再びイ・ユンギ監督の映画に出演した「男と女」には、ハ・ジョンウがカメオ出演したシーンがあるそうです。最後の編集でカットされてしまったらしく、本編では観ることができません。観たかったなー!


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