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映画「スウィンダラーズ」から読み解く、ヒョンビンの成長戦略 #453

「兵役は、やり残した宿題みたいなもんなんだから!」

韓国で生活する韓国人男性にとって、避けては通れないのが「兵役」です。現在、Netflixで配信されているドラマ「青春の記録」では、主人公のソ・ヘジュン(演じているのはパク・ボゴム)が、こんな風に表現していました。

やれと言われるとやりたくなくなるのが「宿題」。その期間をどんな風に過ごすかは、その後の人生を左右するものなのでしょうね。

一般人だけでなく、芸能人やスポーツ選手ももちろん軍隊に行きます。全盛期のタイミングで一線を離れる恐怖はいかばかりか……。それでも、兵役後、明らかに変わったなと感じる俳優もいます。

「愛の不時着」で人気が再燃したヒョンビンもそのひとり。今日の「1000日チャレンジ」は、詐欺師専門の詐欺師を演じた「スウィンダラーズ」を観ていて気がついた、ヒョンビンの成長戦略について紹介します。

<あらすじ>
韓国中を驚がくさせた詐欺師チャン・ドゥチル死亡のニュースが発表された。しかし、詐欺師のジソンは彼がまだ生きていると確信。事件の担当検事パク・ヒスにドゥチルを捜し出し、逮捕することを提案する。パク検事はプロの詐欺師チームと合同で、ドゥチルの補佐役クァク・スンゴンに接近するため作戦を立て始める。しかし、ジソンは、パク検事が秘密裏に別の作戦を計画していることに気づき……。

この映画は、2008年に韓国で実際に起きた、国内最大規模の多段階詐欺事件をモチーフとしています。もっとも、チャン・チャンウォン監督曰く「詐欺師が詐欺師をだます」構想が先にあったのだとか。韓国型ケイパーもので、二転三転する展開、リズム感、そこにあふれる人の心のあたたかさが魅力の映画です。

詐欺師専門の詐欺師ジソンを演じるのが、ヒョンビン。ヘラヘラと検事たちをもてあそぶ姿は「チャラ男」感満載。いい感じに底の見えない怖さを出しています。

そのヒョンビンが兵役についていたのは、2011年3月~2012年12月のことでした。これ以前と除隊後では、出演作品の傾向がだいぶ違うんですよね。ラブコメ路線を封印して、アクション映画や時代劇にも挑戦しています。

フィルモグラフィー

(主な出演作だけ紹介しています)

思えばヒョンビンって典型的な「王子様」でした。いってみれば、「韓国版レオ様」だったのだと思います。

そんな彼が兵役中に志望したのは、超猛烈ウルトラスーパー厳しい「海兵隊」。トップの成績をキープし、満期までつとめあげて除隊した時のあいさつがこちら。

「すごく演技がしたかったです……。休暇のときも演じることができず、後輩の演技を見て我慢していたように思います。
再び演技ができるチャンスが来ました。
皆さんが待っていてくださった分、しっかり準備をして、ずっと願っていた俳優の仕事を通して兵役で得たエネルギーをお見せしてたいと思います」

ただ、「心に傷を負った王子様」はもう卒業したい。年齢的にも(除隊時は満30歳)、「大人の男」の魅力を演じられる俳優へ脱皮したい。

兵役後の作品をみていると、そんな戦略が浮かび上がってきます。これを叶えるために、作品選びには大事なポイントがあるんじゃないかと思うんです。

ヒントは、「スウィンダラーズ」で共演したユ・ジテでした。

スウィンダラーズ

ユ・ジテはパク・チャヌク監督の映画「オールド・ボーイ」で、クソ男を演じています。「イ・ウジン」という、彼が演じたキャラクターを表現するため、ヨガの中でも最高級に難しい「バッタのポーズ」をとれるように猛特訓したのだとか。

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こういう「役作り」に真摯な俳優との共演が続いているんです、除隊後のヒョンビンは。次回作の「交渉」は、なんとファン・ジョンミンとの共演です。

共演者

「心に傷を負った王子様」から、「大人の男」へと脱皮するには、役作りが欠かせません。いくら汚してもレオ様がアカデミーから評価されなかったように、「王子様」キャラから脱皮するには並大抵の努力では足りない。そのために「演技派」、とくに「役作り」に定評のある俳優と、進んで共演を決めているんでは。

この戦略には、アクション俳優への転換も視野に入っているのだと思います。なにしろ「海兵隊」で鍛えた身体があります。そして、そのことを観客も知っているので画に信憑性がある。

ヒョンビンは役者としての成長を模索し、韓国人男性としての「宿題」をうまく活用したのかもしれませんね。

……という話を、オンラインサロン「街クリ映画部」の「木曜会」でしようかなと準備していたんですが、「いつメン」たちはきっと興味がないだろうと思ったので、先にnoteに出すことにしました。笑

「街クリ映画部」の「木曜会」とは。

Netflix PartyというGoogle Chromeの拡張機能を利用したサービスを使って、映画を共同視聴するPartyです。この機能を使うと、映画画面の横にチャット欄が出てきまして、そこで“おしゃべり”を楽しむことなんかもできます。

Netflix Partyの楽しみ方

「愛の不時着」の第1話を観たときは、字幕の出ていない韓国語を補ったり、「バーフバリ」を観たときは、“生首を持った女は神話のモチーフ”なんて解説をしてもらったり。なんだかんだとワイガヤしています。

街クリライターの金子さん(@MondettaYuki)のnoteで詳しく紹介されていますので、ぜひ読んでみてください。

今日10月8日の21時から観る映画は「スウィンダラーズ」。アフタートークでは、韓国の映画界で新陳代謝が進んでいる!?なんて話をしたいと思います。

よかったら、一緒に映画を観てみませんか? 今晩21時にお待ちしています。

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