蓮花

悲しみに寄り添うということ 『蓮花の契り 出世花』 #203

ソニー生命が実施した「女性の活躍に関する意識調査2019 」によると、「女性が社会で働くには、不利な点が多いと思う」という質問に70%の女性が「そう思う」と答えています。

女性のキャリア形成には、旧来の意識を変えることはもちろん、女性自身がどう働き、どういう幸せを目指したいのかも考える必要があると思います。

わたしが20代だった頃は、「結婚=退職」という意識が変化してきた時期でしたが、上の調査で「本当は専業主婦になりたい」と答えた有職女性は、36.7%。3 人に1 人が専業主婦志向なんですね。これは「いまだに」なのか、「いまだから」なのか。揺れる女性の心情が垣間見える気がします。

『蓮花の契り 出世花』の主人公、東京の下落合にある墓寺・青泉寺で湯灌の仕事をしているお縁も将来に悩むひとりです。

出奔した母を追う旅の途中で父を失ったお縁は、そのまま青泉寺で湯灌場に立つことになります。これが第1巻の『出世花』でした。時は過ぎ、二十二歳となったお縁は、実母によく似た女性とすれ違い、心がざわざわし始めます。そんな時、桜花堂からしばらく家で働かないかという申し出を受け取り……というストーリー。

「湯灌(ゆかん)」とは、葬儀の前に遺体を清めることです。死者に触れることになるので、周囲からは「底辺の仕事」とみられ、蔑まれる。それでもお縁はこの仕事の意義を深く理解し、誇りをもって仕事をしています。

恋か、仕事か。庇護者の元にいるか、自立するか。

現代女性でも簡単に答えを出せない問題に、ひとつずつ誠実に向き合うお縁。作者の高田郁さんはあとがきでこんな言葉を残しています。

「あなたの悲しみに、この物語が届きますように」

毎日の生活でちょっとずつ擦り切れてしまう心に、そっと寄り添ってくれるような小説です。


☆☆☆☆☆

2019年7月14日から「#1000日チャレンジ」に挑戦して、今日で200日目。途中、何度も「もうムリー!」と思いながら、なんとか続いてきました。

「#1000日チャレンジ」とは、コミュニケーション・ディレクターのさとなおさん(佐藤尚之さん)が始められた、アニサキス・アレルギーとの闘いをゲームのように楽しい活動にしようという取り組みのこと。チャレンジの内容は参加者それぞれ。より詳しく知りたい方は、さとなおさんの記事を参考にしてください。

わたしが挑戦しているのはこのふたつ。
キツイこと:書評と映画評を1000本書く
できそうなこと:毎日一万歩歩く

12月以降は別に集中して取り組んでいたことがあって、週末はずーーーーっとパソコンの前に座ってました。おかげで一万歩に達してない日が多い。笑

それもこれも1月末で終わり。いまは最後の追い込みで精神的に追い詰められていますが(だから今週はサラリと書こうと思ってたのに長い。泣)、2月からは毎日一万歩歩こう! おやつも減らそう! まともな生活をしよう!と、言い訳しながら誓う200日目の朝でした。

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