チンピラ男の一途な恋物語 映画「傷だらけのふたり」 #297
今週は大好きな俳優であるファン・ジョンミンの映画をご紹介してきました。ファン・ジョンミンはヤクザ映画や刑事ものへの出演が多く、恋愛ドラマはあんまり多くありません。
映画「傷だらけのふたり」では、40歳になっても独身で、兄の家に居候している男を演じています。
<あらすじ>
闇金の借金取りとして働くテイルは、借主の娘であるホジョンに一目ぼれしてしまう。銀行で働くホジョンに父の借金を肩代わりさせ、それを帳消しにする代わり、自分とデートしてほしいと依頼。はじめはテイルに拒絶反応を示していたホジョンだが、テイルの気遣いに心を開いていき……。
「愛している」と告げても無視されると、自分という人間に価値がないものと思えてしまう。そもそも相手はおかたい銀行員。武骨で粗野なチンピラとは住む世界が違いすぎるんですよね。しかも借金という「弱み」をつかまれているので、気持ち自体が素直に伝わらない。
原題は「男が恋する時」。せつない男心の映画なのです。
一番イケてる(と考えている)赤いシャツを着て、鏡の前で一所懸命かっこつけてるんですが、下半身はパンツです。これ、女性なら分かるんじゃないでしょうか。初めてのデートの前日なんて、鏡の前でパリコレを開催しちゃいますよね?
兄嫁にも「ファンションセンスが威圧的」と言われてしまうテイル。映画の中のチンピラって、なんでこんなに柄柄柄柄したシャツを着るんでしょうか。
それが、徐々に変わっていくんです。だいぶ普通のおっちゃんに見えるようになりました。
テイルにとっては、生涯でたった一度の、不器用で一途な恋。
この想い、伝わってほしいー!と思っていたら、ストーリーは突然、転調して家族愛の物語に。この荒技、なんだよ、泣いちゃうじゃん!!!という展開に、ちょっと呆然としました。
韓国映画やドラマは、「涙腺刺激ボタンを入れること」という規定でもあるのかと思うくらい、必ずお涙ちょーだいシーンを入れてきます。「涙活」したいなら韓国映画がおすすめですよ。
「傷だらけのふたり」が韓国で公開されたのは2014年。前年に公開された映画「新しき世界」でライバルを演じたパク・ソンウンが特別出演をしています。いい感じに平穏を壊しに来る男の役。これはやっぱり「新しき世界」を受けてのキャスティングかも。
監督はハン・ドンウク。日本で公開されている映画は「傷だらけのふたり」だけのようです。調べても出てこないので推測ですが、この映画の製作費はあまり高そうに見えません(失礼)。ビッグボックス系の映画に多数出演し、映画賞も受賞しているのに、こうした低予算の映画にも出演し、きっちり爪痕を残すファン・ジョンミン。
やっぱ、いいなー。大好きだなーと再確認した一週間でした。
(※画像はKMDbより)
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