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完売画家(中島健太)

この方のことは全く知りませんでした。ていうか、「日本の画家をあげよ」と言われたら答えが出せないほど、画の知識がありません。そして、絵自体も「ど」がつくほど下手です。

ではなぜ手に取ったか。それは書店で「完売」という文字が目に入ったから。この[完売]というタイトルの本が平積みされていたからです。
自分も仕事をしていて「完売」できたらいいな、と切に願っています。しかしそれはとても遠い目標でもあります。
それを遂行している方であれば、ジャンルが違っても参考になるのではと思い、手に取りました。
著者の略歴を見たら、大学は自分の家の近く。だからなんだと言われれば何でもないのですが、勝手に親近感を持って読みました。

本の内容は、あくまで画家やその業界について語っていますが、無関係の私にとっても非常に参考になるところがたくさんあります。

「絵描きは食えない」を変えたい。
とあるように、根本に、業界を広げたいという意思があります。

これは今私が携わっている業界にも言えます。ボランティアが美だとばかりの空気が支配的な世界。これを変えるのは相当難しいのですが、変えられなければ衰退するのは目に見えています。

抜け駆けは許さない。新しいチャレンジをして現在の既得権益層から利権を奪おうとするなら排除する。そんな空気は少なからずあります。ただ、これはこの業界に限ったことではなく、日本の斜陽な産業であればどこも似たりよったりでしょう。

かなり厳しいが芯をついている指摘です。

「個性を伸ばせ」は、個性を伸ばせない教育システムの中にいる若者には苦痛でしかない、というくだりも、なるほどと納得です。若い方の考え方が分かる本だと思います。


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