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突如の出来事に、変化する死生観

映画化された、ということで、でも映画ではなく小説を読みました。

人を突如失ったことによる喪失感は、いつまでも消える事がない。断ち切れるものではない、それが終始つづられています。

途中、別の人物が突如いなくなり、別の人がやってきてその役割を担当した際、こんな事が書かれています。

このすかすかした感じはなんなのだろう。すみれの形見分けのときと同じ、その人のいなくなった空間がじわじわと埋まっていくのを目の当たりにしている気分だ。持ち物を分け、社会的な役割を分担し、その人の不在を前提としたバランスのとれた世界を再構築する。
「人が一人いなくなっても、なんとかなっちゃうものですね」

その人じゃなくても回すことは出来る、実際、できている、でも…という場面は、自分の身の回りにもあります。その「ぼんやり」としたものをこの作品の中でははっきり言語化してくれています。

「死生観」を考えさせられる1冊です。


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