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映画へGO!「リボルバー・リリー」

(※多少のネタバレあります)
国民的スターとして愛されている綾瀬はるか。
近年ドラマなどでの役柄はだいぶ幅広になってますが、テレビCMでは一貫してピュアな天真爛漫系キャラを続けているということもあり、今回はダークヒロインとも言える謎の殺し屋・諜報員役を演じるということで、「どんな綾瀬はるかを魅せてくれるのか!?」とこの映画を楽しみにしておりました。

そしてざっくりの感想で言うと、映画としてのツッコミどころはたくさんあるものの、綾瀬はるかの天性の品格をベースに置いた、しなやかな躍動美が満載で、イントロからエンディングまで、”ずっとスクリーンに惹きつけられる体験”となったのでした。

例えば、彼女の背中や肩を大胆に見せるシーンなどもあるのですが、その綺麗にシェイプされた細みのボディから繰り広げられるアクションシーンは、銃撃戦が”決まる”のはもちろんのこと、フィジカルコンタクトでの緊張感あるバトルではさらに魅力を発揮します。
これだけ無駄なくシャープに動ける日本人女優って他にいないのでは?と思わせるレベル。

さらに、今回の発見として改めて伝えたいのは、綾瀬はるかの「声」の魅力でした。なんとなくイメージされる透明感のある高い声ではなく、もっとクールで落ち着きながらも意志のはっきりした力強い声のトーン。
それは諜報員としてこれまでギリギリのところで生きてきたという演技プランとも非常にマッチして、映画そのもの全体を引き締めていたとも感じます。

その他、横顔のシーンなども多々ありますが、ちょっと尖ったあごのラインやスッキリした鼻筋なども繊細で素敵なシルエット。
そういったことも含めて、全体として綾瀬はるかの映画になっていたのでした。

とはいえ、他の役者たちが魅力的でないということでは決してありません。
東映らしくたくさんの豪華なバイプレイヤーのみなさんが映画を支えておりました。
二枚目なんだけど決まりきらない感じをうまく出してた長谷川博己は、ピタッとはまり役でしたし魅力的。想像よりスクリーン映えしていたシシドカフカに驚いたのと、義理人情に厚い演技が様になってました。
出番こそ少ないものの、野村萬斎は最初と最後のそれぞれ重要なところで印象に残る役作りがされてましたし、豊川悦司は変わらずの存在感で、まるで見えないところで物語を牽引しているかのような風格でした。
佐藤二朗は、またいつもの感じか・・・と思って見ていましたが、最後に軽く爪痕を残していましたね。笑
ちょっと物足りなかったのは、阿部サダヲ。山本五十六という重要な役どころの割に、その人間像にあまり迫ってなかったのが心残りです。結構ストーリーのキーのはずなんですけど。。

キャストの話ばかりになってしまいましたが、映画の感想で言うと、気楽に観れるエンターテイメントとして、とてもよくできていたと思います。
が、戦闘のシーンでほとんど味方の側がやられなくなっているのは、さすがにリアリティがなく、だからといってファンタジーとして見るには歴史物語の背景があるのでそうもいかずで、感情移入という意味では今一歩でした。

それと、結局主人公たちが何のために闘っているんだっけ?というところにふと立ち返ると、大義なのか?大切なヒトを守るためなのか?それを判断するための描き込みが足りていないので、肝心のところが希薄な状態だった気もします。

さらに言うと、綾瀬はるかと豊川悦司の関係性ももうひと頑張り表現してもらえると、物語の深みがずいぶんと変わったのではなかろうか?とも思いました。

なんて、そんなことをいろいろ書いてしまうと、映画としての根幹が足りてないように聞こえるかもしれません。
が、改めて言えば、綾瀬はるかが躍動して美しい映画なので、それを感じ取るだけでも価値あるいい作品だったと自分の中では結論づいております!

あと蛇足の感想ですが、エンディングの展開は実は意外でした。
最後の闘いの前に新調した衣装が純白で、明らかにこの後このドレスが血で真っ赤に染まるんだろうなと予感させますし、綾瀬はるかが少年に対し「今度お父さん(=綾瀬はるかの愛した人・豊川悦司)が好きだったマロングラッセ食べに行こうね」と語りかけるシーンも、自分は本当は死ぬ覚悟ができていて、少年を安心させるために言ってるんだろうなと推測させられたりと・・・。
ただ死闘を繰り広げる中、「私、生きていくことに決めた」という綾瀬はるかのセリフが出てきて、実際に何とか生き残り、次の新たな闘いに入っていくところで終わるということで、あれれ、この先の続編を牽引するドライバーはなんだろう?というもやもやが残ったのでした。

とはいえまあ、そんなことも気にせずに楽しめば良いのだと思います。

個人的評価:★★★☆☆
こういう王道のエンターテイメント映画が日本でもっと増えて欲しい!アート過ぎず、自意識過剰過ぎない、観客がストレートに楽しめるスケール感ある映画が。



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