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withコロナ時代にフィットネス/サービス業が取るべきDX戦略~「イエナカ接点」を軸にしたCRM最適化~

にーはお。「フィットネス/サービス業のDX研究所」マガジンを運営する家田です。

今回は、withコロナ時代におけるフィットネス企業のDX戦略を考えたいと思います。

話の前提~withコロナ時代~

・緊急事態宣言が収束後も半年から1年、長くて数年は人との接触を少なくした社会に変化
・この間に在宅ワークが当たり前、結果生活習慣が大きく変わり、消費行動にも大きな影響を与える

withコロナ時代の消費行動とはどのようなものか

オフィスワークが当たり前の時代は、日中働き、平日夜(18~22時)もしくは週末の日中に消費行動を行います。ECの発達により、モノに関しては移動の合間や自宅から消費活動を行える環境になったが、フィットネスやイベントなどは物理的な制限がありました。

しかし、withコロナ時代になると、

・在宅で働く->就業中とプライベートの境目が曖昧に
・平日は仕事、休日は休むという区分けが難しくなる

になることで、

・平日の休憩時間30分を使って、在宅でオンライン・フィットネスのレッスンを受けてリフレッシュする

といった行動が増えるでしょう。まとまった時間を娯楽やストレス発散に使うのではなく、在宅ワークの細切りの時間で、娯楽やストレスを発散するようになるのではないでしょうか。

事業者は「イエナカ接点」をいかに強化し、「イエナカ消費」をいかにさせるかが鍵になります。

withコロナ時代にフィットネス/サービス業が取るべきDX戦略

20200409_フィットネスのDX

既存店舗業態プレーヤーはCRMを最適化しながら、DXを実現

ここで言うDXの実現とは、オンラインを軸にした業態を指します。今まで店舗に来てもらうことを前提に店舗ビジネスを展開しましたが、店舗に来ることを前提とせずに、顧客とコミュニケーションを取りながら、売上を作るという一風変わった業態になります。

「店舗に週5は通いましょう!」とコミュニケーションをしていたのが、「週4は自宅でレッスンを行い、2週間に1回店舗に来てください。そこで定期的な身体の変化の測定や場合によってはプライベートレッスンをしましょう。アプリのチャット機能を使って、いつでも連絡してください。」となります。

また、ただ家で運動をしてくださいと言うのではなく、その人の身体に合わせてこのレッスンを受けましょう。この運動は苦手なのでアーカイブ動画で一度学びましょうとオンラインで様々まレッスンを提案します。

CRM戦略として、顧客との接触ポイントをオフライン(店舗)からオンラインに変えるという話になりますが、これを進めれば進めるほど「あれ、店舗にこんなに人はいらないのでは?毎日来てもらうために駅チカを抑えていたが、2週間に1回ならもう少し駅から遠くても安いところで良いのでは?」となり、出店戦略にも変化が現れます。

CRMを最適化しすぎたら、いつの間にか業態変わっていたパターン。図で表したように、これを目指すには、以下2点が機能要件として必要になります。

・オンラインで1on1マーケティングを実現すること
・オンラインで個別最適化したレッスンを提供すること

もちろん最初からこのような業態として事業展開するプレーヤーも生まれるでしょう。


新興プレーヤーは「イエナカ」という新たな消費の変化を抑え、プラットフォーマー的立ち位置になれるか

店舗を持たないプレーヤーにはいくつかのビジネスチャンスが生まれます。図で赤丸で表現したところです。

イエナカが主役になることで、アプリや今後出現するテクノロジーなどが主要なチャネルになり、そこに生まれるビジネスです。

20200409_フィットネスのDX

1)顧客接点を自ら持ち、既存プレーヤーに開放もしくは垂直統合

新興プレーヤーが顧客を自ら獲得し、その獲得した顧客を既存プレーヤーに対して、開放します。ビジネスモデルとしてはマーケットプレイス型。ただモノと違い、提供されるサービスにそこまで違いは無く、マーケットプレイス型のビジネスモデルは難しいかもしれません。

マーケットプレイス型が難しいからか、獲得した顧客に自らレッスンを行う垂直統合型が現在は主流と言えます。アメリカだといくつかユニコーンも登場しています。

・アプリ管理機能付きポータブルトレーニングマシンの「マックスプロ
・自宅でフィットネス・トレーニングをする際の固定式エクササイズ・バイク「ペロトン・バイク」、ならびにトレッドミル(ランニング・マシン)「ペロトン・トレッド」を販売する「ペロトン・インタラクティブ
・自宅をフィットネススタジオに変える「Mirror

2)SaaSとして、「イエナカ」時代になくてはならないプレーヤーになる

顧客獲得はしませんが、既存プレーヤーがイエナカの顧客を獲得するための技術的支援を行います。Fintech時代にGMOPGがそのインフラを担ったように。例えば、既存プレーヤーがイエナカ接点を持つために、CRMアプリを導入したいが自社ではしきれないのでその支援を行う、ライブでレッスンを提供したいが自社でスクラッチでそのサービスを開発するのは難しいのでその支援を行うなどです。

フィットネス業界外で上記のようなサービスを提供する企業はいくつか出現しています。

・接骨院が患者に自宅でのリハビリメニューを作成支援するサービスを提供する「リハサク

おわりに~「イエナカ接点・消費」を抑えるのは誰か~

withコロナ時代になることで、新たに生まれる「イエナカ接点・消費」をどう抑えるかという話でした。既存プレーヤーはこの変化にCRMを最適化しまくり、DX(オンラインを軸にした業態転換)を知らぬうちに達成しようという提案でもありました。

「フィットネス」としましたが、介護や美容室などを除けばこのような業態革新を迫られるサービス業は多くあると思います。

「自社サービスをどのように店舗をメインに使わずに提供するか」を考える思考の補助線になれば幸いです。


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「フィットネス/サービス業のDX研究所」マガジンでは、フィットネスを中心とするサービス業がどのようにデジタル化を達成するかを考察するマガジンです。

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