Next・OMO(超高齢化・人口減少社会特有の小売業態)を考察するための書籍61選

にーはお。

はじめに:OMOは日本で生まれない


小売が中国事業を展開をする中で、最重要キーワードとなる「OMO」について、「Next・OMO~中国OMOの次に起こる小売革新は何か(前編)~」でまとめました。

OMOを単なる「デジタル時代における顧客体験の最適化」といった抽象的な話ではなく、より具体的に「来店を前提としない小売業態」と捉えました。そして、OMOが小売産業における主力業態に中国ではなっていると。以下のように整理できるでしょう。

1:小売産業を大きく規定するものはなにか?(=新たなトラフィックをもたらすものはなにか?)(中国の場合:モバイルペイメントとスマホアプリの圧倒的普及)
2:その変化で生じる新たな業態はなにか?(中国の場合:来店を前提とせずにアプリ上で売上を立てるOMO業態)

しかし、OMOは大量のデリバリー員によって支えられた業態です。中国で大量のデリバリー員を調達可能なのは賃金差と地方からの出稼ぎがあるためです。アメリカのように移民国家でもないため、日本は大量のデリバリー員を軸にしたOMOのような業態を開発するのは難しいでしょう。

では、日本においてOMOに代わる新たな業態は何になるか。同じく、以下の枠組みで考えることができそうです。

1:今後の日本の小売産業を大きく規定するものはなにか?(超高齢化、人口減少になりそう)
2:上記の場合、超高齢化、人口減少社会で生まれる新たな業態はなにか?

この問いを考える際にインプットできる書籍を本稿では紹介しています。

本稿を踏まえた上で、超高齢化、人口減少社会日本でどのような小売業態が今後主流になるかを次回考察します。

※日本でOMOがどのように発展するかはYamotty氏の「第3部: 日本におけるOMOの正体はなにか(後日公開予定)」で論じられると思うので、それを待ちましょう。

書籍の要約

これらの本で述べられていることのキーワードを抜粋してまとめています。

・労働力が減少し、小売が小売だけの機能を提供する状態で、社会を維持するのが難しくなる
・人口減少によりショッピングセンターが潰れて、買い物難民は引き続き増加
・中国のような迅速な意思決定をするのは難しく、空き家問題を解決するのは難易度が相当高い。
・別の産業に社会の供給(土地、労働力)を集約した方が効率が良いのでは?
・「小売」という「場所」に紐づく購入ではなく、「人」「サービス」に紐づく購買活動に引き続き流れる
・製造業に代わる外貨を稼ぐ新たな産業が日本には必要。課題先進国と言われる高齢者にまつわる福祉産業がその候補
・介護、医療産業は所得再分配政策の側面ももっており、より日本産業の根幹にすべきでは?
・寿命が今後100歳になる中で、介護施設への入退去を繰り返す生活動線が必要
・介護産業は介護保険制度に良くも悪くも依存しており、混合介護を始めとする規制緩和による介護産業の生産性向上が必要
・IoTの普及で健康データが集まる中で、「予防」領域が発達し、「介護・医療の予防」も新たな福祉産業として生まれるのでは
・行政機能の維持すら難しい市町村も出てくるが、ヒトを移動させる(=コンパクトシティの実現)のは容易ではなく、どう住み続けられるようにするかが、大事になる

DXを考える6冊


『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』では、デジタルがメインの世界になる中でユーザーとの接点の持ち方が変わりそれに対応しないといけないという話を中国の事例から解説しています。『事例でわかる新・小売革命—中国発ニューリテールとは?』中国で起こっている小売のDXを多くの事例を通じて説明するものです。2019年は中国の小売産業がとても注目されましたが、それを日本に普及させた2冊と言えるでしょう。

『システムインテグレーション再生の戦略 ~いまSIerは何を考え、どう行動すればいいのか?』はSIer業界がどう生まれ、現状どのような問題があり、Slerはどうすべきかの方向性を提示したものです。日本企業のIT部門はSlerと密接な関係があることを考えると、Slerへの理解がある方がDXという事象を的確に捉えられるのかなと思います。

ではDXをどう推進するかの思想や手段を教えてくれるのが『ソフトウェア・ファースト』『エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング』。

『幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書)』は中国で「利便性」を求めた結果、過度にデジタル化が進んでいる現象を「幸福な」監視社会として捉え、多くの議論を展開しています。これは一党独裁体制の国だから起こることでもなく、日本でも行政のデジタル化が進む中で、必ず議論となることです。

中国が進んでいるからと言って闇雲に学ぶのではなく、一歩引いてデジタル化した社会で私達が手放す権利を考えさせてくれます。DXが作る世界について一度立ち止まって考える時に読みたい1冊です。

マクロ経済を考える5冊


人口減少と超高齢社会を迎える日本経済の大枠を抑えるのに良さそうな書籍を紹介します。


日本の経済成長は単純な労働投入量のみではなく、イノベーションによって支えられてきたことを明かし、今後もイノベーションによって経済成長を実現する必要があることを『人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長』では論じています。『「エイジノミクス」で日本は蘇る 高齢社会の成長戦略』では前者の続本として読むことができ、具体を引きながら高齢社会での成長戦略についての全体像を提示しています。

イノベーションを起こすには、労働などの流動性を高めるのが基本であるが、過度な流動性を高めるのは所得格差の拡大など負の面もあることを考慮しなければならない。そんなイノベーションの生と負の面を『野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える』で説明しています。

『日本人の勝算―人口減少×高齢化×資本主義』人口減少を迎える日本では、生産性を上げることが必須で、そのためには最低賃金を引き上げることが最善の解決策であると主張しています。

規模の経済が生産性を左右する製造業などは依然グローバルな産業として強化する必要がありますが、日本のGDPと雇用を支えているのは広義のサービス業であり、まず2つを分けて議論した上で、サービス業の生産性を上げることが最重要課題であると『なぜローカル経済から日本は甦るのか GとLの経済成長戦略』では説いています。

日本が今後注力すべき産業を考える14冊

では上記の認識のもと、具体的に日本がどの産業を強くしていくべきかを考える書籍です。

半導体、電気産業においてなぜ日本が世界トップクラスになれたのか、そしてなぜ中国・韓国系に負けるに至ったかを考えさせてくれます。『日本型モノづくりの敗北 零戦・半導体・テレビ』『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』『東芝解体 電機メーカーが消える日』

電気産業と並んで日本の産業を支えてきた製造業がなぜこれだけ強いのかを論じたのが『能力構築競争-日本の自動車産業はなぜ強いのか 』『日本のもの造り哲学』。

そしてその製造業の競合優位性を抽出し他の産業にも適用させようとする試みが『ものづくり経営学―製造業を超える生産思想』で展開されています。

どのようにインターネット企業と製造業が今後の製造業の役割を担うかを上記と同一著者の藤本氏が『現場から見上げる企業戦略論 デジタル時代にも日本に勝機はある』『現場主義の競争戦略―次代への日本産業論―(新潮新書)』で説明しています。IoTで起こる変革をいくつかのフレームワークを用いて説明しており、IoTが製造業にどのような影響を与えるかを理解するのにオススメです。

製造業そのものを支える工作機械産業は日本が量でも質でも世界一と言われている産業であり(量は長らく一位の座を守ってきたが中国に近年抜かれてしまいました)、どのようにしてその地位を掴んだのかが書かれています。産業自体をどう強くデザインするかの指南書としても読めるでしょう。『日本のものづくりを支えた ファナックとインテルの戦略~「工作機械産業」50年の革新史~』。

また自動車産業の強化を目指す中国はどのような取り組みを仕掛けているのか、日本の十八番である自動車産業がいつ中国に負けるのかを考えるための現状理解として読んでおきたいです。『2030 中国自動車強国への戦略 世界を席巻するメガEVメーカーの誕生』

中国が出てきましたが、『テクノロジー思考――技術の価値を理解するための「現代の教養」』では中国とインドで「都市化」と「テクノロジーの浸透」が同時に起こっていることを平易な言葉で説明してくれます。テクノロジーの側面が中国でも強調されますが、そもそもまだ国の経済が発展途上で、都市化が進行していること、そのインパクトの大きさに付かされてくれます。

中国産業の強さと脆さを分析した『現代中国の産業―勃興する中国企業の強さと脆さ』では、電気産業の発展プロセスを通じて、なぜ日系企業が中国市場で負けたのかに整合的な説明を与えてくれます。中国産業がどのような特徴を持つのか理解するには最適な一冊です。

『なぜローカル経済から日本は甦るのか GとLの経済成長戦略』をさらにサービス産業に議論の焦点を当て、サービス産業がどのような特徴を持つかを説明、その上で日本はサービス産業を成長戦略の核に据えるべきと議論を展開しています。サービス産業、特に福祉産業は景気の変動に関わらず需要が発生し、雇用の受け皿にもなることから、失業対策と共に複合的に考える必要があると述べられています。『サービス立国論―成熟経済を活性化するフロンティア』

日本がどの産業に注力すべきかを総合的に議論を展開したのが『日本企業は何で食っていくのか』。日本を代表する経営学者である伊丹氏が過去から現在まで日本がどの産業を強みにして成長してきたかをまとめると共に、今後の方向性を複数の視点から提示します。

人口減少時代にあるべき小売を考える5冊

『商店街はいま必要なのか 「日本型流通」の近現代史』では、日本の小売の歴史がコンパクトにまとまっています。

日本の人口が長期的に減少してく中で、単に店舗のみを通しての顧客対応ではなく、顧客の生活圏を踏まえた商圏を小売業の経営の対象とすること(「商圏マネジメント」)で、小売業は今後の需要を拡大すべきと説いたのが『生活者視点で変わる小売業の未来 ― 希望が買う気を呼び起こす 商圏マネジメントの重要性』。ワンストップ以外の価値提供を小売が目指すべきことを強調しています。

2050年の人口構成からどのような業態が生き残るのかを『2050年を視野に入れたマーチャンダイジングと流通がわかる事典 下巻』では説明しています。人口が減少する中でどのような業態が残るのかにヒントをくれる一冊です。

『未来の稼ぎ方 ビジネス年表2019-2038 』『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』では今後日本でどのようなイベントが起こるのかをまとめてくれています。

空き家を考える4冊

小売の未来を考える時に出てくる社会問題が「空き家」です。

日本の空き家の背景や解決に向けた提言、具体的事例を理解するには『解決! 空き家問題』『空き家を活かす 空間資源大国ニッポンの知恵 』がオススメです。

さらに日本だけの事例だけでなく、世界(特にヨーロッパ)ではどのような背景で空き家が社会問題化しているのか、それに向けてどのような取り組みがされているかを解説しているのが『世界の空き家対策: 公民連携による不動産活用とエリア再生』です。

空き家の発生原因である土地所有者不明問題を日本の土地所有制度の歴史、また他国との比較を通じて解き明かし、今後の処方箋を『人口減少時代の土地問題 「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ』では提言しています。

都市計画・経営を考える8冊

空き家という現象は都市における1つにすぎません。そもそも都市はどのように作られるのか?人口減少と高齢社会を迎える現代において、どのような都市開発が求められているでしょうか。

インフラ投資が社会にどう経済効果があるかを実証する『インフラを科学する―波及効果のエビデンス』。

日本の地方創生の議論を引き起こした「増田レポート」の書籍。人口統計から896の自治体が将来消滅すると警告を鳴らします。『地方消滅 東京一極集中が招く人口急減』

統計的観点からのみ考察し、解決策が具体化されていないと上記の「増田レポート」を批判します。安易なコンパクトシティ形成ではなく、住み続けようとする意志を持つ人々を、より低密度の状況での「先進的な少数社会」として維持するための仕組みを作り上げる戦略的構想ー低密度居住地域構想ーを『農山村は消滅しない』では提言しており、現実的な地方消滅への解決策であると納得感をもって読むことができます。

『人口減少時代の都市 成熟型のまちづくりへ 』では「都市計画」ではなく、「都市経営」をテーマに扱っています。過去の日本の都市経営の成功・失敗事例からあるべき都市経営を提示。今後人口減少が長期のトレンドになる日本社会においてどのような都市経営が必要になるかを富山県富山市や長野県飯田市の成功事例、ドイツの「シュタットベルケ(都市公社)」やアメリカ中西部諸都市の「ランドバンク」方式などの事例にヒントを求めます。

日本の都市がスポンジ化していることによって生じる問題、都市のスポンジ化はなぜ起こっているかを事例や数値を引きながら説明しています。また人口減少に悲観的になるのではなく、積極的に捉えようという啓蒙書にもなっています。人口「増加」は非常に予測が難しく街づくりも困難になりますが、人口「減少」は予測がしやすく、良い街づくりができるのではとポジティブな見方を展開。人口増加時代は「中心×ゾーニングモデル」という単純な空間モデルによって都市計画を捉えていたのが、実際は商業、住宅、工業、農業、自然など複数のレイヤーから都市は構成されており(「全体×レイヤーモデル」)、その前提でスポンジ化した都市をどうリ・デザインするかの視点が大切であると強調。コンパクトシティには反対の立場で、現状をそのまま捉える「スポンジシティ」に新たな解決策を求めます。『都市をたたむ 人口減少時代をデザインする都市計画』

現在の郊外化(=スポンジ化)の原因がクルマに過度に依存した社会になっていることと説き、富山市のLRT(ライト・レイル・トランジット)などを事例に引きながら、移動を自転車と歩行を中心にしたものにすべきと提言しています。『クルマを捨ててこそ地方は甦る』

コンパクトシティではななく、「ショートウェイシティ(=移動が短い都市)」が本来の目指すべき姿として、ドイツの中級都市エアランゲンを紹介しています。『ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか: 近距離移動が地方都市を活性化する』

同様に都市全体を「歩行者中心の公共空間」として再配分することに成功したヨーロッパの都市の事例を複数紹介しているのが『自治体行政マンが見た 欧州コンパクトシティの挑戦―人口減少時代のまちづくり・総合計画・地方版総合戦略のために』。

福祉政策を考える9冊

ヨーロッパの都市計画を先端事例として見てきましたが、その都市計画と連動する形で福祉政策がどのように展開するかも考えるべき要素でしょう。日本は中国やアメリカのように広大な土地や多くの人口を抱えておらず、真似をするのが難しいです。それよりは小国のヨーロッパ諸国の方が参考にしやすいのではないでしょうか。

ヨーロッパ各国でどのような福祉政策が展開されているかをその歴史的、思想的背景からこれらの書籍では書かれています。『デンマークのヒュッゲな生活空間―住まい・高齢者住宅・デザイン・都市計画』『海外の介護保障を学ぶ:オランダ、ドイツ、デンマーク、フィンランド』『スウェーデンの高齢者福祉―過去・現在・未来』

オランダモデルと称される福祉政策の光と影の部分を考察。ここで論じられていることは日本も避けては通れません。オランダモデルが福祉を享受する条件として労働や市民社会への「参加」を条件としています。しかしこれは「参加」が難しい移民・外国人の「排除」を前提としています。脱工業社会においては、身体的能力よりも言語的コミュニケーション能力が求められるのがその理由です。日本も同じ局面を迎えると思いますが、そのためのケーススタディとして最適な材料なります。『反転する福祉国家: オランダモデルの光と影』

日本の団地で起こっている「移民」排斥の現状を記述しています。人口減少、自国民に変わる労働力の必要、高齢化、スポンジ化など複雑な要因が絡み合い、日常生活で発生している問題を浮き彫りにしています。『「団地と移民」『団地と移民 課題最先端「空間」の闘い』

直接的に福祉政策を論じているわけではないですが、このような福祉政策を考える時に、自分から見えない人たちをどう想像するかは基本的な態度として重要になるでしょう。風俗やヤクザなど社会から消されようとしているモノに焦点を当てて、その社会的意義を考えさせる一冊です。『社会が漂白され尽くす前に: 開沼博対談集』

北欧式福祉政策を体現している自治体として富山を紹介し、どのような福祉国家を日本が作れるかのヒントをくれます。『富山は日本のスウェーデン 変革する保守王国の謎を解く』

日本の医療と介護の成立における歴史的背景と現在の問題点のまとめとして。『日本の医療と介護 歴史と構造、そして改革の方向性』

小さな政府を絶対的正義と考えている人が読むと非常に示唆に富むと思います。内閣審議官として「社会保障・税一体改革」をとりまとめた著者が社会保障がなぜ必要かを説明します。社会保障を負担だけから見るのではなく、経済との幸甚感、産業振興など複合的観点から捉える「ポジティブ・ウェルヘア」を提唱。具体的には医療・介護産業を通じて所得の再分配を行うことの意義を説明しています。『教養としての社会保障』

日本社会を考える3冊

日本社会を強く規定するものを考える書籍を紹介。どれも重厚な書籍なので、こちらのインタビュー記事から読むと良いかもしれません。

『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』『仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』『新しい労働社会-雇用システムの再構築へ 』

ヨーロッパを理解する3冊

類似点が多いヨーロッパが現状どのような問題を抱えていてるかの理解は基礎知識として把握したいところ。

直近の欧州政治情勢を解説。『欧州ポピュリズム ──EU分断は避けられるか』。チェコでは既にポピュリスト政党が第一党に躍り出ているという事実。ヨーロッパつまりEUが抱える構造そのものがポピュリズムを生み出すと指摘し、イギリスのEU脱退の根本にあるものを理解するには最適です。

主要国の歴史を学ぶのも大切ということで通史の各国史は(かなり長いですが)オススメです。『逆転のイギリス史 衰退しない国家』『教養としての「フランス史」の読み方』

現代社会を形成する源流を考える4冊

そもそも私達が暮らす社会は、何に起源を持つのでしょうか。我々の社会がどのような起源を持つかは、今後の日本社会を占う上で、意味があるのかなと。

宗教的観点から日本の資本主義が西洋とも中韓とも違うことを解き明かし、今後日本経済がどのような方向に進むべきかを提案します。鎌倉新仏教の易行化によって善業の蓄積が推奨され、それが日本経済の原動力になっていると説明し、またそれらが日本でメインバンク制度が成立したことにも繋がっているなど大胆な仮説を提示します。日本版プロテスタントティズム。『日本型資本主義 その精神の源』


廃藩置県という言葉があるように日本の現在の都道府県の元となっている「藩」というものがどう形成され、どのような歴史的意義を持っていたかが解説されています。『藩とは何か-「江戸の泰平」はいかに誕生したか』

今まで遅れている国と言われ続けてきた中国が、実は宋の時代に身分制度を撤廃し、実質的に近代化を成し遂げたのではないか、日本はそこに向かおうとしているのではないかと大胆な主張を展開します。西洋と遅れたアジアというよくある図式の正しさを根底から考えさせてくれます。『中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史』

ヨーロッパの歴史を非常にコンパクトに解説します。古代ギリシャ・ローマの学問、ローマのキリスト教会、ゲルマン人戦士の文化の3つの要素に注目し、それらが相互作用する中で、「ヨーロッパ」が誕生していく過程を「ざっくり」解説しています。中国よりもヨーロッパの各都市の福祉政策の方が参考になることもあり、ヨーロッパの歴史も抑えてきたいところです。『超約ヨーロッパの歴史』


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