八月の星々、ふりかえり|140字小説
140字小説コンテスト「月々の星々」
八月のお題は「遊」でした。
ようやくまとめができました。特に何が忙しいわけでもないのに妙に気力が萎えていた八月。暑かったから、と思っておきましょう。
ではふりかえり。
予選通過作。子ども時代を思い出して。
夏休みになると母の実家へ一週間ほどお泊まりに行っていました。従兄弟親戚みんな集まって、大人たちは毎晩宴会。子どもたちは連れ立って田んぼの畦道を走ったり、用水路を辿ったり、山の麓に一軒だけある駄菓子屋に駆け込んでお菓子を買ったり。古き良き夏休み、がまだあの頃にはあったのだよなぁ。
もう我が子にああいう夏休みはあげられないのです。無理に作るものでもないしね。今は今の、新しい遊びをしようね。
少し怪談風味。お盆やお彼岸の時期の、ふとどこかから匂う線香の香りが好きです。弔う人がいて、弔ってもらっている人がいる。ゆたかな営みだなぁと思って安心します。
いずれ私が死んだら、悲しまなくていいから、お盆に線香の一本でもあげて、少ししみじみしてもらえたら嬉しいなぁ。
怪談風味その2。遊び法師、という単語を思いついたから使いたかっただけ。
時々、凄まじい、としか形容のし難い程の夕焼けが燃え盛ることがありますね。隅まで全部染め尽くす。陽が落ちる寸前の、逢魔が時とはよく言ったもので。
うすごおり。幸せは脆い薄氷の上に成り立っていて、いつ足下が割れて奈落に落ちてしまうかは誰にもわからない。
だから一瞬を大事に生きよう、なんて教訓めいたことでは救われない。恐ろしさも消せない。だから気づかないふりをする。自分と自分の大事な人たちだけは大丈夫、という根拠のない自信で。
考えると怖いので、考えないようにしています。
140字小説っぽい! ぽくないですか?
幸せになることが何よりの復讐だとは言うけれど、程度の問題で、大切なものを致命的に傷つけられたらまあお前を殺して私は生きる、くらいは思いますね。
以上、ふりかえりでした。
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