見出し画像

プラスチックごみとのディスタンス:見ようとしないと見えない暮しの景色

「こんな事になっていたなんて…。」
「ここまでひどい事態なの!!」
どこかで聞いた事はあっても
情報として何となく知っていても
他人事としか思えなくて
向き合って来なかったプラスチックごみ問題。
ここでは年末年始にオンラインで受けた
講演やセミナーで見聞きした事のシェアや
これからの暮らし方などについて
まとめてみました。

1 プラスチックごみってどうなってるの?

海洋プラスチックごみも含め、
これまでに受けた講演やセミナーは3つ。
・勤務先の学校での外部講師による講演
・”リサイクル幻想”がテーマの講演
・”海外の海岸のごみ”がテーマのセミナー
 
それぞれのお話の中では、いろいろな
データが共有されましたが
その中で特に印象に残ったデータは
次のようなものです。

《現状》
【最近のプラスチック総排出量】
2018年:891万t
リサイクル率:84%
残りは単純焼却か埋め立て
【プラスチックごみの中身】
PETボトル:18%
プラスチック容器包装:64%
発砲スチロール・トレイ:2%

《これまでの経緯》
プラスチック生産量:83億t
ゴミとして投棄された量:63億t
リサイクル率:9%

《海洋プラスチック》
(マイクロプラスチックの事)
1.5億t:すでに海に投棄済み
毎年800万t投棄

《世界の中の日本》
【プラスチック生産量】
 世界2位
(容器包装プラスチック生産量36%)
【プラスチック排出量】 
 世界2位

これらの数字を見て
改めて事の深刻さを感じます。
ただプラスチックのない(ノープラ)生活を
実践するのはとてもハードルが高いのが
日本の現状です。

2 世界の取り組みは?

では、世界では
特に環境先進国と言われている国々では
どんな取り組みがなされているのでしょう?

詳しくは下記サイトを参考にしてもらえればと
思います。
https://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-03/y031203-s1r.pdf

講演やセミナーで紹介していただき
印象に残った世界の取り組みは次の通りです。

・ニューヨーク:使い捨てレジ袋や
 公園でのペットボトル飲料の販売禁止
・フランス:使い捨てプラスチック使用原則禁止
・ドイツ:生産者の容器包装廃棄物の回収義務化

海外では
このようなスピーディな対策が
次々に打ち出されている中で
日本でも”レジ袋有料化”が実施されていますが
これも例外規定などの「抜け穴」もあるようで
問題視されているようです。

3 日本の暮しの中のプラスチックは?

では、実際に日本人が暮しの中で
どれだけのプラスチックを使って
いるのでしょう?

【ペットボトル】
2016年:216億本生産
【レジ袋】
消費量:500億枚
(EU:200億枚)
【傘】
消費量:約1.3億本
(ビニール傘:約800万本)
どれも普段の暮しの中で
つい買ってしまうものばかりですが
これらを合計すると
とんでもない量になります。
そして、その捨てられ方や
捨てられた場所で
大きな影響が出ているのが
事実なんだと思うと
責任を痛感します…。

4 どんな影響があるの?~プラスチック汚染~

・プラスチックごみの回収後の
 ごみ捨て場の問題。
これまではお金を払い中国などに
ごみの廃棄を依頼して来た日本。
すでに国内にごみを処理できる場所が
ほぼなくなり
海外に頼るしかない状況だったのが
それらの国でも受け入れる事が
出来ない事になっているのが現状の
ようです。

【出荷先のないプラスチック量】
4tトラック 1000台分

《ごみ山での問題》
プラスチックのごみも含め
海外などで処理される時は
人工島や人が少ない島などに投棄
されるようです。
その場所で低賃金で雇われた
移民が長時間労働を強いられたり
貧困にあえぐ子供や母親などが
ゴミから使えそうなモノをあさる
”スカベンジャー”の存在。

そのゴミ山では火災が起きたり
化学物質などが土壌を汚したり
空気も汚染していたり
いろいろな危険があるようです。
さらに
そこでゴミを拾う子供達は
ペットボトルの中に残った
腐っているかもしれない飲み物を
飲む事もあるそうです…。

《海洋汚染の問題》
レジ袋は海に投棄されると
軽くて移動しやすいために
いろいろな場所に動きます。
さらに長く水中にある事で破れ、
プランクトンがすくい
重くなり海底に沈むようです。

この状況も含め
海中のマイクロプラスチックの
存在が海を汚し
食物連鎖による生物濃縮が
人体にも大きな影響が
あると言われています。

さらに衝撃的だったのは
海鳥などが捨てられた
プラスチック製品を誤飲して
小さい部品が器官に
詰まって苦しみながら
死んでいく姿でした。

ビーチで横たわる
多くの海洋生物の死骸の数は
相当なもので
その死骸を解剖すると
お腹の中にすごい量の
プラスチック製品が詰まって
いた事でした…。

《マイクロプラスチック問題》
このマイクロプラスチックは
実は
海に捨てられたプラスチック製品など
だけでなく
自分達が身に付けている合成繊維や
街を走る車のタイヤなどからも
マイクロプラスチックが大気中に
存在しているようです。
そして、体内に取り入れられる量は
1週間で5gという事です。
この数字、どう思います?

5 これからどうする?

ここまで、データなどから
プラスチックごみ問題について
まとめて来ました。
かなり深刻な状況だという事が
分かって来ましたが、
どうすればいいのか?
ここが悩み所です…。

講演やセミナーでは
ペットボトルの利用を減らすために
公共の場での”給水設備”の設置や
イベント時の食器を使い捨てから
再利用が出来るものにする取り組み等が
紹介されていました。

さらに次のようなお話もありました。

スーパーなどでの
発砲スチロールにラップを使った
包装から”量り売り”の導入。
食品包装にへの
バイオマスプラスチックの活用。
生分解性プラスチックの適切な
回収とリサイクル。

これらは商品などを
生産したり販売したりする側の
努力かと思います。
では、実際に生活している
消費者である私達がどうすればいいのか?

ペットボトルの利用を
出来る限り減らす?

小分けされてプラスチックで
包装されている商品を買わない?

雨が降りそうならマイ傘を持参して
ビニール傘は買わない?

プラスチックで個別包装された
日用品や食品を買わない?

生活の中からプラスチックを
極力なくしていく?
どれも我慢とか不便とかと
セットでネガティブなイメージ
かもしれません。

どうしたら
ポジティブに気持ち良く
プラスチックに頼らない暮しに
シフトしていけるのか?
「今はコロナ禍で大変だから
仕方ないよね…。」と
見ないようにしていると
手遅れになり
とんでもない事態になるかもしれません。

今の日本で暮らす私達が
考えて行動していく必要があると
痛感しています。
みなさんはどうお考えですか?

〈終わり〉









この記事が参加している募集

最近の学び