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黒のエナメルの靴。【昭和のあの頃】

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それは、私が子供の頃とてもとても憧れた靴です。
ただ、私には特別必要性もなく、簡単に買ってもらえる物ではありませんでした。


記事画像にもしていますがこんな靴です。


画像引用元:Amazon.co.jp

ある日、母が小さな箱を抱えて帰って来たのです。

その箱の中には、なんとあの憧れの靴。

そうです、あの黒のエナメルの靴が入っていたのです。


嬉しさと、ビックリで

「この靴、私の?」

と、思ってしまいました。



・・・・・




ですが、世の中、そう甘くはありませんでした。

ドキドキのシンデレラタイム

この靴は、母の知り合いの子供さんの靴で、

「もう合わなくなったので」

と言って声をかけてくれたらしいのです。


それにしても、あまりにものタイミングの良さにビックリです。

母が姉から履いてみるようにと言ったので、ここからが


ドキドキのシンデレラタイムです!


靴に足を入れている姉の後ろに私が並びます。
すると、なぜか私の後ろに弟も並んでいました。

えっ?

と思いましたが、
そんな事より靴をあわせている姉の方が気になります。



祈る思いで見ていました。
(何を祈っているのやら。)


姉が「この靴ちょっと小さい。」そう言って靴を脱いだ時、


私はホッ、としました。
(嫌なやつです。でも正直な気持ちでした。)


次はいよいよ私です。



わくわく、ドキドキの気持ちいっぱいで、そーっと履いてみると、


なんと言うことでしょう。

ピッタリです。まるでシンデレラ!


おとぎ話の世界なら、直ぐに王子様のもとに行けます。

靴は新品同様でした。
母の知り合いの娘さんは、ほとんど履く機会がなかったそうです。
母が祖母と、

「子供の時の成長は早いからすぐに合わなくなる。」


そんな話をしていました。


私はただただ嬉しくて、何度も靴を箱に入れたり出したりしていました。

靴の箱の中に、お気に入りの靴下を一緒に入れて、

うん、この靴にはこの靴下だな。

なんて思いながら靴を履く日を楽しみにしていました。

毎日、箱を開けて靴を履いてみました。

靴を履いて少しだけ庭を歩いたりもしました。

でも、なかなかお出かけの話もなく、

その内、私も靴の箱を開けなくなりました。

シンデレラ引退の日・・・

それからどのくらい過ぎたでしょうか、、、数か月??

ついに来ました。


お出かけだ!


それがわかると、私は直ぐに靴の箱からあのエナメルの靴を
取り出して履いてみました。


でも、


えっ?、うそっ?、キツイ?




でも、つま先を曲げて無理をすれば履ける。
黙って履いていたのですが、母の目はごまかされませんでした。
直ぐに、私の様子に気が付き、

「キツイの?」

そう言われて、

「でも、履ける。」

言ってはみましたが、無理でした。

誰が悪いわけでもなく、ふてくされても仕方のないことなのです。

次はの日は、いつもの靴で出かけました。
すると、母が私たち兄弟を靴屋さんに連れて行ってくれたのです。
これもまた、嬉しくてビックリです。


沢山の靴の中で、目移りしてなかなか選べませんでしたが、私が選んだのは、あれほど恋焦がれていた黒のエナメルの靴ではなくて、赤と緑のコンビのローファーぽい感じだったと思います。


三人それぞれ気に入った靴を買ってもらいました。

結局、私もほとんど履く事のなかった黒のエナメルの靴、
母は靴を譲ってくれた知り合いに事情を話し、まだきれいで勿体ないので、他の女の子のいるお母さんに声をかけようと言う事になったそうです。

数日後、黒のエナメルの靴は次のシンデレラのもとへといきました。

画像引用元:Amazon.co.jp



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