「証言・ハンセン病―療養所元職員が見た民族浄化」本を読んだ感想

「証言・ハンセン病―療養所元職員が見た民族浄化」森 幹郎(著者)

 ハンセン病についての基本的な説明もなく、いきなり法律や療養所の問題点などばかりを論じていたので、全く予備知識のない自分からしたら何のことを言っているのかさっぱり分からず、理解が追いつくのに苦労した。

 だが流石に後半にさしかかればある程度は理解でき、国の政策に人生を振り回され、社会からの冷たい視線を浴び、自身を「天刑」と卑下し、劣等感をいだいていたハンセン病患者の方々のことを思うと本当に心が傷んだ。

 付録にあったハンセン病患者 青山善郎さんの「点字活読」には、人間とは何か、生きるとは何かを深く考えさせられた。

 その付録「〈人間〉の名に値するのは、どんな環境に置かれていても〈惰眠〉をむさぼらず、〈人間〉として〈社会的存在〉として、自覚して生きることだ。」という言葉があった。

 視力を失い、酷い人は舌先しか触覚が無い状況でも、点字での自己表現に希望を抱き、文字通り血の滲む努力をする姿には人間としての美しい尊厳を見ることができた。



ブログ村 へ

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?