フジコ・ヘミングさん20210420
フジコ・ヘミングさんのコンサートに行ってきた。
サントリーホール、1階の前から3列めという、ラッキーな席。
開演時間になり、スタッフの男性に支えられながら笑顔でステージに現れたフジコさんは、キラキラしていて神々しかった。
フジコさんのコンサートには何度か来たことがあるが、その度にありがたい気持ちになる。
今年もコンサートを開いてくれてありがとう。
聴きに来られてよかった。
手を合わせて拝みたくなるような思い。
前半は藤色のドレス、後半は淡いピンクにゴールドの刺繍が全面についた、ゴージャスな衣裳を身にまとい、ピアノを弾くフジコさん。
その後ろ姿を、祈るような気持ちでずっと見ていた。
変な言い方だが、ひとというよりはフジコさんという神聖な生き物を見つめている感じ…??
88歳のいま現在の、フジコさんの音。
来年も再来年も、いつまでも元気で、私たちにピアノを聴かせてほしい。
全18曲、約2時間は、あっという間。
後半のほうが音がくっきりして力強くなっていた気がする。
自分が88歳になったら、あんな指の動き出来るだろうか、曲を覚えられるだろうかと考えると、いやいや、なかなか出来ることじゃない。
奇跡のようなお方だ。
アンコールを終え、スタッフとともにステージを後にするフジコさんは、笑顔で客席に手を振ってくれた。
舞台袖の手前で、一旦足を止めてくれ、かなり近くでフジコさんの姿を拝むことが出来た。
思わず、両手で手を振る。
笑っているフジコさん。
なんだか目が合ったような気がする。
きっと、周りのみんなもそう思っていただろう。
ただただ、ありがたい。
コンサートが終わり、感想戦の食事も出来ないご時世なので、帰りの電車の中、一緒に行った仲間とLINEのやりとりをしていた。
仲間の一人が、
「天命に生きるってすごいエネルギー。3列目で、結構浴びちゃいましたね」と書いていて、ほんとにそうだなと思った。
88歳という年齢で、曲を覚えて、大勢のひとの前でコンサートを開けるってとてつもないこと。
体力、暗譜力、表現力、エネルギー。
そんな奇跡を起こせるひとの演奏は、まさに天命と言っていい。
天命って、誰にでもあるんだろうか。
私にもあったりする?
ふと浮かぶ、答えのない問いはそのままに、フジコさんの余韻を糧に、明日も生きていく。
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