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ビジネス書評

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#サピエンス全史

書評:『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その11



最後、第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ。あとがきは、神になった動物。この2つが、すごくいい。

2018年のサピエンスは、サピエンスを超えてしまったという話。

我々は、神の領域に手を出して、他の生命体とは根本的に異なるレベルまできていることが、全サピエンス史の視点から書かれている。我々は、今までのサピエンスとは全く異なる時代に生きている。今まではと根本的に異なる進化の真っ只中にいるのであ

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書評:『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その10



第17章から19章まで。ちょっと中だるみ。

第17章は産業革命の話。

産業革命とは、エネルギーの革命。まずは石炭を燃やして蒸気を使い、動力を得たと言う話。今では、それが原子力(核分裂の方)まで使えるなど、人類は使えるエネルギーを拡大してきたので、エネルギー切れというのは起こさないわけだ。無限に拡大する推進力を手に入れたのに等しい。

農畜産業の生産性も上がった。著者は、養鶏などを「ベルトコ

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書評:『花園メリーゴーランド』(柏木ハルコ)



『サピエンス全史』で昔の狩猟採取民の話を書いていたら、この本を紹介されたので、(本かと思ったら漫画なのですが)読んで見ました。真面目なエロい本だと思いました。

人間の歴史上、一夫一妻の歴史は短いです(明治時代以後、福沢諭吉先生の『学問のすすめ』ぐらいからでしょう)。だからと言って、一夫多妻かというとそうでもなくて、多夫多妻というn対nという社会構造が歴史的には長かったようです。

この本で描

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書評:『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その9



盛り上がってまいりました。
科学革命の第15章 科学と帝国の融合。
16章 拡大するパイという資本主義のマジック。

リンドが実験でビタミンを見つけ、航海の代表的な病気を無くした。クック船長はそれを取り入れ、豪州を見つけた。その後百年で、豪州を英国の領土に組み込んだ。科学が帝国主義に結びついた例。

昔の航海は、学術研究でもあり、帝国主義の征服の旅でもある。
科学と帝国は融合していた、と著者は

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書評:『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その8



さて、お待たせしました。第4部の科学革命。
第14章 無知の発見と近代科学の成立。

ここ、面白いです。

科学は人を幸せにしたか、を扱っている。幸せにしたと著者は言う。

科学は核兵器も作り出した。同時に、致死率を大きく下げ、人間が病気で若くして死ぬことを無くした。農業革命と違って、科学は、人類の幸せに貢献した。その科学の本質を、著者は解こうとする。

ここに、出口さんの『全世界史』の嘘が暴

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書評:『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その7



(ここから下巻ですが、書評の続きなので、その7として続きを書きます)

12章 宗教という超人間的秩序。

著者はイスラエル人なので、宗教を熱く語るのだが、日本人はしらける。
西洋人の宗教は、キリスト教で、一神教。日本人からすると「神様が人を作ったなどという明らかな嘘を元にした物語は信じるに値しない」で、終わる。

一つだけ面白かったのが、この文章。

2000年にわたって一神教による洗脳が続

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書評:『サピエンス全史(上)』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その6



中だるみ部分、行けるところまで行きます。

第7章。書記体系の発明。文字ができて、色々なものがDNA以外に残せるようになってよかった。自然言語が注目されているが、税制とか数字とか無意味な言語が面白く、そっちも大事だ、と言う話。

第8章。想像上のヒエラルキーと差別。「生物学的に考えて白人の方が黒人よりも優れている」という擬似相関を用いたまことしやかなヒエラルキーの正当化が近代まかり通っていたら

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書評:『サピエンス全史(上)』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その5



サクッといく。第6章。

農業革命をもたらしたサピエンス。今度は、ハンムラビ法典とか、アメリカ独立宣言などの神話を作り出す。著者はこれを「想像上の秩序」と呼ぶ。

もっともらしい「人権宣言」のようなものは全部神話で、絶対的な真実じゃないと著者は言う。「真実と異なる嘘だ」と言っている。同時に、それは、大集団の社会秩序を整えるため「役立っている」と言う。常識知らずだ。
しかし、これが正しく思えてく

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書評:『サピエンス全史(上)』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その4



農業革命に入った。第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇。

サピエンスが、農耕生活に入ったのは、ここ1万年ぐらいのことらしい。
「農業革命で、人は飢えなくなった」は都市伝説で、事実と異なるらしい。農業革命を「農耕生活の罠」と著者は呼ぶ。

狩猟採取生活の生活レベルは低くなかったことは、前章で述べた。1日4時間働き、残りは遊んでいればよかった。農耕生活は1日10時間労働。灼熱の中水を汲みに出かけ、

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書評:『サピエンス全史(上)』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その3



続いて、「第4章 史上最も危険な種」について

この章の主旨はシンプルで、他の動物から見たときに、「ホモ・サピエンスほど他の動物を絶滅に追いやってきた最悪の種はない」が主旨。

ギルティ、有罪、という話。

マンモスの絶滅は、サピエンスが食べきった結果と言うのは、有名な話。
サピエンスが未知の大陸に上陸するたび、その大陸の生物は絶滅した。その痕跡はあらゆる大陸で見られ、サピエンスの大罪は言い訳

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書評:『サピエンス全史(上)』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その2



お次は、第3章 狩猟採集民族の豊かな暮らし について。
すごく魅力的なタイトルです。

20万年前にホモ・サピエンスが進化した
7万年前に認知革命が起きた
1.3万年前に、ホモ・サピエンス以外のホモ属(人類)が絶滅
1.2万年前に、農業革命が起きた

7万年前に高度な言語能力(嘘をつく力)を手に入れたサピエンスは、1.2万年前に農業革命を起こすわけですが、逆にいうと7万年中6万年は、サピエンス

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書評:『サピエンス全史(上)』(ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之)その1



長男がNHKの人類シリーズを興味を持ち、よく見ている。
そこで、サピエンス全史を読んでみることにした。これが面白い。

DNA解析と考古学が合体し、昨今の恐竜人類の研究は日進月歩で、すごい。
30年前の説と全く違っている。ヒトたるホモ・サピエンスは、ホモ・サピエンスのことを全然知らないことがこの本を読むとわかる(少なくとも、私はよく知らなかった)。

面白いので、章ごとに感想を書くことにする。

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