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大学の授業や講演を iPad の Goodnotes で行う(元教授、iPad の Goodnotes を使う。その2)定年退職58日目

前回、iPad の Goodnotes 使って学生の学会ポスター原稿を修正する話を書きました。今回は Goodnotes を使い始めたきっかけや、大学での使用方法などを紹介させていただきます。


ある時、社会人でかつ博士課程の学生(社会人ドクター学生:注1)との雑談中に、その会社では膨大な書類やデータをすべて PDF にして Goodnotes に放り込み、まとめて処理をしているという話を聞きました。当時私は、教育、研究、事務処理、と様々なデータが溢れていて、机の上には書類が山積みでした(これは定年退職の時まで変わりませんでしたがw)。最初は、たとえ散らかっていてもすべて把握していたつもりでしたが、次第にパンクしそうになっていました。

藁にもすがる思いで Goodnotes を使い始めてみました。彼の会社のように書類をすべて PDF にしたわけではありませんが、学生からの実験結果などは PDF でメール送信してもらうことから始めました。研究において良かったことは、PDF 上に書き込みができ、それをそのまま保存(または返却)できることです。しかも、iCloud で家や大学のコンピューター、iPad と連携させていると(iPhone でも)どこででもチェックができるのです。たとえば、以前書いたように「スターバックス」や「ホリーズカフェ」でも活用しました。もちろん、PDF に書き込みができるソフトは以前からあり、それなりに使用していましたが、Goodnotes は連携性や汎用性に優れていました。

たとえば、ペンの種類・色・太さなど自由に選べますし、小さな文字も拡大できます。しかしこのままでは Goodnotes が機能を十分に発揮できていないと感じ、授業で使うことを考えました。授業では元々、板書(黒板にチョーク)から始まり、OHP でスクリーンに映すようになり、その後はずっとコンピューターで PowerPoint を使用していました。それぞれに思い出がありますが、長期間 PowerPoint で大満足でした。そして、Goodnotes を使い始めるにあたって問題は、私の周りにこれで授業を進めている先生がいなかったため、方法を自分で開拓しなければならなかったことです。


失敗しても良いと思い、学部3年生の選択授業で思い切って使ってみました。すると、短所もある一方で、それを上回る長所がいくつもあることがわかりました。たとえば、「図の拡大」は理系の授業では重要ですので、とても重宝しました(写真も拡大でき、私の最終講義で過去の写真を大きく拡大して好評でした)。また、図への書き込み・消去ができることや、ポインターの使用(私の好きな、ポインターの軌跡が短時間残るもの:下写真)なども大きな長所でした。

ポインターの軌跡(赤い部分)が短時間残るもの
ApplePencilProで新しくパレットがでるようになりました

もちろんそれまでの PowerPoint に比べて欠点もあります。たとえば、データに PDF を使用するので PowerPoint 特有の多段階での表示や、スライドの切り替えなどは Goodnotes ではできません。そして、私の偏見かも知れませんが、多くの人が使用している PowerPoint に比べて「重み」がない気がしました(よく言えばカジュアル)。当初は、学会で座長さんに「カジュアルなソフトを使いますが大丈夫ですか」と事前に伺ったほどです。


しかし、概して(少なくとも)授業で学生たちには好評だったようです。もちろん、使用方法の正式なマニュアル等も、今では出版されていると思います。是非ご参考にしていただき、まずは先生方(見ておられる方もいるのでは?)、どうぞ授業で使ってみて下さい。先生ご自身も学生もその効果に驚くはずです。


また、Goodnotes の別の使い方も紹介させていただきます。お楽しみに!


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注1:「社会人ドクター」とは、企業に勤めながら大学院の博士課程に入学し、休日等に大学に行き、博士を取得するために研鑽するシステムです。従来の論文博士のシステムから徐々に移行しているようです。


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