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断片 #4

小学生の頃、僕は医者になりたいという夢を抱いていたことがある。 なぜその時医者になりたかったのか。 例えば癌や遺伝性疾患をはじめとする難病、感染症といった病気の臨床研究を進めるということに興味のベクトルが向いていたという大きな理由がある。 その他にも、その病気によってどんな機構でどのように症状が引き起こされるのかという生理的な現象に興味があった。 その夢を叶えることなく今自分はサラリーマンとして生活しているわけだが、後にその当時の興味は臨床医ではなくただ研究がしたかっただ

    • 断片 #3

      先日、6年間いた大学の音楽サークルをついに引退した。 休学期間やコロナ禍で活動していなかった時期等を考慮すると更に短いかもしれないが、それでも多くの時間をこの場所で過ごした。 思えば長かったような、短かったような、とてつもなく濃い時間だったと振り返ってみて感じる。 自分のいたサークルについて先日引退した音楽サークルは、いわゆる普通の軽音サークル(以降ロッ研と表記する)と全然ジャズをやらないジャズ研究会(以降ジャズ研と表記する)だった。 他にもブラックミュージックを専門に演奏

      • 断片 #2

        知らない場所を思って涙を流した。 最近、自分の見る夢について考えることが多い。 夢は、歪んだ時空の果てに知らない場所へと連れて行ってくれる。一番身近なサイケデリクスだ。 人間の生命を吸って生きる、巨人達の住む都市。 見覚えのある光景だと思い後ろを振り向くと、一面の銀世界が広がっている二度と帰れない大地。 幼い頃からずっと見ていた、自分の身体一つ分しか収まりきらない程の地平の裂け目。 宇宙服を着て知らない惑星を探検し、そこで聴いた得体の知れない怪音。 昔幻想の中で見た記憶

        • 断片 #1

          「ここ一年間、自分は新しい音楽が本当に聴けなくなった」 自分の中で理由は分かっている。分かっているし、聴けなくなったことが悪いことなのかどうかはまだ自分でも分かっていない。 一方、過去の自分と大きく変わってしまったこと、周りから取り残されていくような感覚があることに対してどこか引っかかりを感じているのは事実で、ネガティブな感情を抱いていないと言えば嘘になるだろう。 聴けなくなった理由として主に2つ思い当たるものがある。 1つ目は心身のバランスの問題。今までは精神状態がド

        断片 #4