断片 #2

知らない場所を思って涙を流した。

最近、自分の見る夢について考えることが多い。
夢は、歪んだ時空の果てに知らない場所へと連れて行ってくれる。一番身近なサイケデリクスだ。


人間の生命を吸って生きる、巨人達の住む都市。
見覚えのある光景だと思い後ろを振り向くと、一面の銀世界が広がっている二度と帰れない大地。
幼い頃からずっと見ていた、自分の身体一つ分しか収まりきらない程の地平の裂け目。
宇宙服を着て知らない惑星を探検し、そこで聴いた得体の知れない怪音。


昔幻想の中で見た記憶を思い出しても、もう二度と同じ時空に立ち返ることはできない。
Khakiの『ハンメルフェストの口づけ』は、そんな何でもないかもしれない記憶を思い出させるシナプスだった。


僕は、知らない場所を思って涙を流した。

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