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滋賀県の福祉の手厚さ

 (以下の話は、福祉の話のようでいて、じつは福祉の話がしたいわけではないですので、福祉にご興味のないかたでも、よろしければどうぞお読みくださいね。ただしおもしろい話が書けるかどうかはわかりませんが…)

 全国的に見て、「福祉が手厚い土地」としてほとんどの人が挙げるのが大阪です。大阪市のことなのか大阪府のことなのかは私もわかりません。とにかくよほど「大阪」は福祉が手厚いようです。それから滋賀県や福岡県も福祉が手厚いと聞きます。このように「福祉の手厚さはかなり地方差がある」ということさえ、つい最近わかってきた「業界では当たり前の話」です。そこで、ときどき出る以下の議論について、「それは無関係である」という話を書きたいと思います。福岡県の福祉の水準を上げているのは、北九州市のNPO法人「抱樸(ほうぼく)」です。北九州市は抱樸のおかげでかなり福祉が充実していて、それが福岡県全体に及んでいるのです。(「その認識は間違っている」という福祉に詳しいかたがおられましたら、どうぞ教えてくださいね。)そして、その抱樸の理事長である奥田知志さんが滋賀県の出身なのです。それで、「福祉の手厚い地域」の話題が出るたびに、滋賀県の福祉が手厚い話と、奥田さんが滋賀県の出身であることが、あたかも関連があるかのように語られるので、「その2つの事柄は関係ない」ということが言いたい記事です。

 いま、滋賀県のホームページを見ました。「福祉のまちづくり条例」なるものがすぐにヒットしました。これは「滋賀県には手厚いNPO法人がある」レヴェルではなく、県をあげて福祉に力を入れているらしいことがすぐにわかります。糸賀一雄さん(近江学園を開設した障害者福祉の第一人者)とは関係がありそうですが。(ここで糸賀一雄氏について検索していて気づいた点を脱線で書きます。あるサイトで糸賀氏の有名な「この子らを世の光に」という言葉を書くにあたって誤って「この子らに世の光を」と書かれてあるのに気づきました。「を」と「に」が逆です。こういう無意識の「上から目線」は、障害者である私などは敏感に気づきます。ついでに糸賀氏がキリスト者であったことも知りました。つまりイエスの「あなたがたは世の光である」(新約聖書マタイによる福音書5章14節)という言葉から取っていると思われるのです。イエスがどれだけ貧乏な人たちに向かってこの言葉を語ったのか知りませんが、イエスも「あなたがたに世の光を」とは言わず「あなたがたは世の光になれ」とも言わず「あなたがたは世の光である」と言い切りました。糸賀氏の思想の一端を見た気がしました。脱線おしまいです。)なんだか脱線のほうが充実していますが、とにかく糸賀一雄氏と滋賀県の福祉の充実ぶりは関係がありそうです。それはともかく、奥田さんとは関係がありません。なぜなら、奥田さんはその著書からわかる通り、いわゆる中流階級の家庭の出身であり、福祉とは無関係に育ったと考えられるからです。「福祉」というのは、自分が困った経験でもしなければ意識にも上がらないような事柄です。私はこんなに困るまで、いま住んでいる町がわりと福祉が手厚いことも知らず、また、生まれ育った町は福祉が充実していない(かなりひどい)ということも知りませんでした。その地に住む私の両親はいまだにこのことを知らないでしょう。この「困ったときはどこに頼るか」というのは、もっと学校でも習うべきことであり、福祉とは「助ける」側からばかり見るのではなく、自分も「助けてもらう」視点で見るべきものです。私だって40歳のときに発達障害の診断がくだり、いま46歳ですがこんなに困っています。誰でも人生の途中から障害者になる可能性はあり、あるいは若くして死なない限り人は必ず年寄りになります。「お年寄りに席をゆずりましょう」だけではなく「年を取ったら席をゆずってもらいましょう」とも言えるわけです。私の母の口ぐせは「人に迷惑だけはかけちゃいけない」でした。そんな母は十数年前によく「PPK」と言っていました。「ピンピンコロリ」の略らしく、ピンピン生きていてある日コロリと死にたかったようです。しかし、誰もが年寄りになり、できたことができなくなり、人に頼って迷惑をかけて死んでいくのです。そもそも「まったく誰にも迷惑をかけない人」なんて世の中にいるまい。まただいぶ脱線しましたが、とにかく奥田さんがいま福祉の大家になっていることと、奥田さんが滋賀県の出身であることは関係がない、ということが言いたかったのでした。この手のおかしな論理が世の中にはたくさん出回っている、ということが言いたくて書き始めた記事ですので「福祉とは関係ない」という宣言で書き始めたのですが、よほど脱線のほうが長い記事になってしまい、最初の宣言通りでなくなってすみません。でもこのままの「一筆書き」でアップしますね。この記事、おもしろいのかなあ…。

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