お盆の過ごし方(1)|#好きな日本文化
曹洞宗|お盆の過ごし方(1)
「お施餓鬼」
「餓鬼(がき)」に「施す」と表される「お施餓鬼」。
旧暦7月15日の前後に行う「施食会(せじきえ)」。
仏教の世界の「六道」の一つである「餓鬼道(がきどう)」に堕ちて苦しんでいる無縁仏を供養する法要です。
ご自身のご先祖様が「餓鬼道」にいらっしゃる、とは考えたくない様子ですが、「六道」を輪廻転生する中で「無縁」となった仏様が陥る世界ですので、信心深く縁をつなぎ祖先を敬えば、決して行くことはない、ということになります。
ですので、自身の祖先かどうかによらず、「餓鬼道」で苦しむ仏の供養をする、、、功徳ですね。
特に、旧暦の7月15日の儀式ですから、古来より一年で最も暑く乾燥する時期。
この時期に、「供養」という儀式を通じ、食料の海産物農産物をコミニティで再分配してきた互助の歴史文化が仏教寺院での「お施餓鬼(施食会)」だと言えるでしょう。
最近ではすっかり希薄になりましたが、地域コミニティへの再配分の機能を細々と受け継いでいくのも、寺院の重要な役割なのです。
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【曹洞宗 亀翁山 延命寺の「お施餓鬼」】
毎年8月12日、14日、16日の午前中(8時前後~11時頃まで)に開催。
施食くださった功徳施主には「五色の施餓鬼旗」の授与があります。
「施餓鬼旗」は、墓石にお飾りいただくのが地域の習わしです。
(「お施餓鬼」供養にお布施できた印、とも言えます)
「お施餓鬼(施食会)」には、「餓鬼」の飢えや渇きを癒すための果物や菓子をお供えするのが慣例です。
旧暦7月15日のころ、豊かさの象徴である果物をお供えすることで、功徳の回向(自分のための善行が、巡り巡って他者のためになること)を願う。それが「お施餓鬼」なんですね。
実際には、スイカや梨、ブドウなどが多いですが、近年では転じて「果物ゼリー」や「水ようかん」「ソフトドリンク」など。日持ちのするもの、分配しやすいものが好ましいかと思います。
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【曹洞宗 亀翁山 延命寺の「施餓鬼旗」】
独特の薄い色紙、半紙を重ね折りし、切れ込みを入れて開きます。
慎重に開かないと、紙がちぎれてしまうので、仕事には多少の慣れが必要です。
以前は、「旗」の軸にする「青笹」をお施餓鬼の当日の朝、住職がみずから山に入って刈ってくるのも含めお盆の儀式でした。また、「青笹」に旗を結びつける「こより」も手作りしていました。
数年前から「青笹」を刈る早朝の儀式は取りやめ、軸はお塔婆に、「こより」は市販のものを使うようになりました。
それでも「旗」自体は今でも手作りです。
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