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元旦内樋のCMがヤバすぎるから解説する

ちゃらららら~♪ がんたんっ♪

っていう耳に残るジングルが繰り返されるCMを見たことがあるでしょうか?下記にYouTubeのリンクを貼っているのでご確認ください。

私はこのCMを今朝初めて見ました。
そして一目で、そのCMの"凄さ"に度肝を抜かれて、急いで検索してみたところ、YouTubeにCM動画がアップされていました。

このCM、実は、Twitterでは「うざい!」「耳障り!」という意見が散見されます。Google検索のサジェストも「元旦 CM」の次に「うざい」という予想単語が上がるくらいに、一部の方には不評なCMです。確かにジングルが異常に耳に残る・・・。

ただ、私がこのCMを「こりゃ凄い!」と思った理由は、その耳に残るジングルが繰り返される、という点ではありません。

このCMの要素を分解することで、”凄さ”を解説してみたいと思います。

マジで凄いから。


単純に映像表現が超凄い

まず驚かされるのがなんと言っても、その映像です。

簡素な映像ではあるのですが、これは間違いなく、メチャクチャ金がかかってます。

そして完璧です。

細かく解説します。


映像を解析する

まず、冒頭部分の画面を見て下さい。

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まず”ドオォォン・・・”という大太鼓のような音黒い背景照明効果で影と光のコントラストが強調された家の屋根が映し出されます。

そして「金属屋根といえば・・・」という、超大作映画の予告編顔負けのいい声のナレーション(山ちゃん?違う?)が、”ちゃらららら~♪”という間の抜けたジングルと共に流れつつ、カメラは屋根の下側から上へ上へと上がっていって・・・

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無骨な金属屋根が現れます。
そして・・・

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”元旦♪”というポップな歌声。

ここまでで3秒弱。
ここで視聴者は釘付け間違いなしです。


何故なら、この冒頭部分で”緊張の緩和”が表現できているんですよね。

<緊張>
”ドォン・・・”という音
男の太い声のナレーション
光と影のハイコントラスト
<緩和>
ポップなジングルとロゴ

つまり、これから何かが起こるんじゃないか?という緊張感からの、元旦♪でホンワカするという流れで「このCM、なんか面白いかも」と受け手の興味を引くことに成功しています。

ジングルだけ聴いても別段面白いジングルではありませんが、この感情の揺さぶり効果によって、受け手は”面白い”という感情を抱く訳です。

また、このカメラワークも非常に凝っていて、最初はカメラは下から上へ見上げるアングルになっていて、建物を旋回しつつ上昇しながらカメラは下を向いていって、最終的には屋根を見下ろす形になっています。

最初は見上げてて

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見下ろす形になってますね。

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恐らくカメラの揺れや軌道のブレ方から推測すると、”ドローン撮影”をしているんじゃないかと考えます。

また、ライティングによって光と影の演出をしていますが、これは恐らくスタジオの中で撮影されたものだと思います。

つまり、スタジオに建物(セット)を作って、ドローンで撮影していると。

あるいは、非常に良く出来たCGか・・・?
ただ、雨や雪は実写だと思うので、屋根のアップ以外だけCG?

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ラストのカメラが上がっていくところの遠景の景色(ビルや住宅)は、恐らくセット撮影に、遠景背景をCGで合成したものだと思います。多分。

まあ、実写なのかCGなのかはわかりませんが、いずれにせよ、シンプルな構成とうらはらに、映像にはメッチャ金かかってます・・・。


伝えるべき内容が的確

”落ち葉が入らない雨樋といえば…”というナレーションが入る

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上図のシーンの映像。

もう、落ち葉が雨樋に入らないことが一目瞭然な映像ですよね。
「落ち葉が雨樋につまっちゃって困ってるよー!」という人なら、即「買いたい!」となるヤツです。

ここは実写撮影していると思います。

こんなにリアルな自然物の描写は、CGで作った場合の費用対効果を考慮した場合、現実的ではないので。(このレベルのCG表現はハリウッドでも実現がムズい)


更に感嘆したのが次のスローモーションカメラで撮った映像。

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上記の雨と雪のシーン。

いや、実写だとしてもね、非常に手間のかかる映像ですよ…

特に雪のシーンなんて、映画でもこんな綺麗に屋根から雪が落ちてくる描写を見たことがない。

深夜に降り積もった雪が早朝に屋根から落ちてくる”という風景を描写したであろう、こだわったライティングも完璧だし、マジでため息が出るレベル。

ここの画面を左右に分割した映像は、左右で”耐久性の比較を映像で表現”している箇所になるのですが、もう一見して明らかに”元旦の雨樋最強!”な映像に仕上がっているわけです。

左側の雨樋は、雪や雨の重さに耐えかねて、グラグラとバウンドしていて、今にも壊れそう!という表現が見事。見事すぎて、芸術なんじゃないかとすら思う。

もう本当に映像のクオリティがヤバい!!!


…いや、たかがこんなCMに大げさすぎると思いますか?

だったら、自分がこの映像を作ることを想像してみてください。

落ち葉はどうやって飛ばせばいいのか。
大雨はどのように降らせたのか。
この大量の雪はどこから搬入したのか。

その映像表現に必要な機材を全部揃えるとした場合、どれだけの手間と時間とお金がかかるんだろうと、想像してみてください…

手間がかかる=時間がかかる=金がかかる、ということです。

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上の箇所。
雨樋をライティングと構図を変えながらの4連続ショットとか、もう意図が謎すぎて笑えます。よくやるわ。


費用対効果の高いリーチ

CMが放送されている時間帯は下記の表の通り。

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全国区で、朝のニュースに絞ってCM提供している状態です。

もろに「これから家を買おうかなー」とか「そろそろ雨樋が老朽化してきたから工事をしないと」と思っているサラリーマン家庭をターゲットにしてますね。

恐らくTwitterで「うざい」と文句を言っているのは、朝のニュースを見せられている若い学生層なんじゃないかと思ってます。


まとめ

恐らくこのCMは、大量の予算を注ぎ込んだ”社運をかけたCM”だと分析します。

30秒という短い時間の中で”伝えるべきことを全て伝えきる”という強い意志を感じる素晴らしいCMです。

いやーいいもの見たな!

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