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できていることを見る重要性: 「なぜなぜ」より「なんのため」

私たちが直面する問題や課題を解決するためには、原因を探ることが一般的に勧められています。特に工業やビジネスの世界でよく取り入れられる「なぜなぜ分析」は、根本的な原因を明らかにするために使われます。しかし、このアプローチは物やプロセスに関する課題には有効であっても、人間関係や心理的な側面に関する問題に対しては必ずしも最良とは言えません。

1. 詰問と感じる「なぜなぜ分析」

「なぜなぜ5回」というアプローチを人に対して適用すると、しばしば相手を圧迫する詰問のように感じられることがあります。この方法が課題解決のツールとして有効なのは確かですが、人間の心や感情には必ずしも適していません。感情は複雑で、それを単純な原因と結果の関係で説明するのは困難です。

2. 人と課題は異なる

人間は単なる課題や問題の集合体ではありません。それぞれの感情や背景、価値観を持っています。したがって、人と課題は別物として扱い、それぞれに適したアプローチを選択することが必要です。

3. 「なんのため」で目的を見出す

「なぜなぜ5回」の代わりに、「なんのため5回」という質問を人に対して導入することで、相手の目的や意図を深く理解することができます。この方法により、相手の行動や感情の背後にある真の意図や価値観を探ることが可能となります。そして、このアプローチは相手のポジティブな側面、できていることや成功の要因を浮き彫りにします。

ちなみに日本語では「どうして?」という質問が、「なぜ」の意味でも「なんのため」の意味でも捉えられるので、「どうして?」という表現をつかうことも多いようです。

4. ビッククエスチョンで変容を

さらに、目的や意図を明確にした上で、ビッグクエスチョンをすると、相手の変容や新しい発見につながります。(このビッククエスチョンについてはまたどこかで)
質問の魔法は、未知の答えを引き出す能力にあります。

5. できていることを見る

最終的に、私たちが関わる人々に対しては、できていない面よりもできている面を強調し、課題解決の質問とは異なる質問を選択することが不可欠です。これにより、相手の自信を育み、新たな可能性や前向きな展望を生み出す手助けをすることができます。

私たちが日常でのコミュニケーションや問題解決の際に選ぶ質問やアプローチは、相手の感情や心の安定に大きく影響します。だからこそ、適切な質問を選択し、相手の可能性を最大限に引き出す努力を続けていきましょう。

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