遅れてきた朗報

水曜の夜。思ったより残業が長引いた私は、帰ってすぐ台所へ飛び込むように入って、簡単な丼物の下ごしらえをしていた。
さて、塾へ次男をお迎えに行かなきゃ…と思った時、久しぶりに空手のコーチから電話がかかってきた。


小学校1年から始めた空手だけど、次男の特性もあり、遅々として上手にならず、まさに小柄なもやしっ子が続けるのは、仲良しが空手大好きで頑張っていたから。ところが、次男の障害が分かり、塾の時間が空手の時間と同じに変更になってしまった。そのため、次男の状態が落ち着いたら、少し遠くの道場へ練習に行くことになっていた。

「この間、受けた審査の賞状と帯を渡したい」

そういえば。2月か3月に審査を受けたっけ。審査の直後に自粛がはじまったから、すっかり忘れていた。そして、「あ、受かってたんだ!」と結果をそのときに知った私は、近くにいるというコーチの元へと車を走らせた。

それほど長いこと経っていたので、コーチは「お渡しするのが遅くなってすいません」と頭を下げられた。いやいやむしろ、扱いにくい子を型だけでも辛抱強く教えてくださったことに感謝しかない。

今の状況と今後の参加予定について話して、塾のお迎え時間が迫っていたので、そそくさとその場を後にした。

痩せっぽいでチビで集中力もない次男。一緒に通っていた友達より二歩も三歩も遅れて、やっとたどり着いた茶帯。うれしいというより、安堵の気持ちの方が強かった。

これは、今まで誰も障害を認めてもらえなかった次男が、健常児に遅れながらも頑張った成果だ。この子は頑張れる子であり、これからもやっていけるだろう。
そんな明るい兆しを感じた。

桜🌸も過ぎてすっかり紫陽花の時期になった朗報だけど、受け取れたこと、こういうコーチのような人に師事することができたことをありがたく思った。



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