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#1 『明け方の若者たち』カツセマサヒコ

こんにちは。
1冊目に何を持ってくるか迷いましたが
ずっと書くことに対して重かった腰を上げるきっかけとなった本にしました。

発売日を調べて、待ち望んで、発売と同時に買いに行ったのは久しぶり。
というか初めてかも知れないです。


「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑」?
その16文字から始まった、沼のような5年間。

明大前で開かれた退屈な飲み会。そこで出会った彼女に、一瞬で恋をした。本多劇場で観た舞台。「写ルンです」で撮った江の島。IKEAで買ったセミダブルベッド。フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり。
世界が彼女で満たされる一方で、社会人になった僕は、"こんなハズじゃなかった人生"に打ちのめされていく。息の詰まる満員電車。夢見た未来とは異なる現在。深夜の高円寺の公園と親友だけが、救いだったあの頃。

それでも、振り返れば全てが、美しい。
人生のマジックアワーを描いた、20代の青春譚。

Amazonより

カツセさんのルーツ、
一見順風満帆に見える人生、そして「こんなはずじゃなかった」気持ち。

なんとなく自分と重なるところがあって本を出版される前から
色々な媒体で拝見して、好きでした。

特に印象に残った文章です。

加点方式の人生とは、そういうことだ。ゼロからスタートして、十点でも二十点でも良いからプラスを積み重ねていく。誰かの助けになったり元気付けたりする。その結果、誰かから、それも、多くの人から、もしくは、自分にとって特別な存在から、認められたり、褒められたりする。そんな経験をしたいだけだったんだ。
苛立ちと焦りと不安が交互に顔を出した。彼女の下心と僕の真心を交換することで成り立っていた三年間が、なかったことにされる予感ばかりしていた。
大切な人は、いつも突然いなくなる。でも実は「突然」でもなんでもなくて、きっと行動や表情には見えない心の機微が積み重なって、「突然」のように見えているだけなんだ。それに気付けなかった僕にこそ、問題があった。残される側の人間に、彼らを引き止める権利は持たされていない。
「来年も来ようね」とか「次の夏は花火をしよう」とか、気安く未来の予定を提案するあの人が、怖かった。来年も僕らが一緒にいられる保証なんて、どこにもなかった。

共感できるところだらけでした。
読んだ後に、一瞬「?」ってなって、もっと深く理解したくてワクワクしながら戻って、もう一度読んで「おおぉ」って感動して、走馬灯みたいにそれまでのシーンとか過去の自分の出来事とかと重ねてみたりして。
5回くらい読み直して、どんどん砕いて、染みていく
そういう文章が好きなんです。
この読んだり戻ったりしてる時間が最高に幸せ。笑

なんとなく感じる心の寂しさを代弁してくれているような、
ああ、あの時の寂しさはこういうことだったのかってすとんと落ちる描写が多くて。


カツセさんは繊細な人なんですよね。きっと。
あと寂しがり屋さんな感じ。
とても優しくて愛を持っているからこそ、
その愛が大きくて、感じとる気持ちに長けているからこそ、
その愛と同じくらいの不安や寂しさを持っている人という印象を受けました。

登場人物の「僕」が、と言うより、カツセさんが、と言う印象を持ちました。
辞書伝ではなく、一部だけ自分の経験を元にしている部分がある本なようなのですが。なんでですかね。

文章が最初から最後までどこか寂しいんです。
寂しさと、痛々しくないはない若さと、妙な諦念と、熱さと。
キラキラもしているし、ジメジメもしている。
葛藤とまとめるには物足りないような、でももっとシンプルなような。

私も来年の約束する人苦手なんですよね、、
私はそういうのしっかり楽しみに覚えているタイプで
言った方は忘れていて裏切られた気分になったことも少なくないです。笑

「言うことには責任を持つ」これ大事。

「守れることしか言わない」これ大事。

責任を持てるなと、守れるなと、
そう思うその瞬間まで口に出さないように気を付けてます。笑

こんなはずじゃなかったと思う瞬間は
誰でも少なからずあると思います。
特に社会人になりたての頃は学生時代に思い描いていた生活と違ったりね。

カツセさんのように順風満帆に見えるような人生で
社会人になって初めて挫折をすると言う方も少なくないかもれないですね。

私も人生で2度目の挫折しております。笑

1回目の挫折はその挫折を乗り越える過程がかけがえのない日々で
結局良い思い出になっているのです。

だから2回目の挫折が今後どうなっていくのか。

「それでも、振り返れば全てが、美しい。」
素敵な言葉です。


Sally

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