#2 『マチネの終わりに』平野啓一郎
人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?
この文章が序盤と後半で2度登場します。
2人のすれ違っていた時間も、お互いの過去の辛い経験も
この言葉がどんな意味を持たせたでしょうか。
主人公の蒔野は、若くしてクラシックギターの最前線を背負ってきた若き天才ギタリスト。ある日、演奏会後の友人との食事会にて、通信社でジャーナリストとして活躍する、記者の洋子と出会う。出会った時からお互いに惹かれあった蒔野と洋子だが、実は洋子には婚約者がいた。東京・ニューヨーク・パリ・バグダッドを舞台に、二人の男女の物語が繰り広げられてゆく。
Wikipediaより
1回目でお互いが惹かれあい、住む国が違っていても音楽で繋がっていて、、
あまりこういうまずなかなかあり得ないでしょうっていう設定が
好きではなかったのですが、
未来は常に過去を変えているんです
この一言でなんだか物語が綺麗にまとまっていました。
好きな人の言ったことだから記憶に残るということは多々ありそうですか
自分のもやもやを代弁してくれて、こんな考え方をしているんだこの人はって好きになるのって素敵ですよね。
だってそこから先、ずっとその考え方と一緒に生きていけるんだから。
心に刺さった文章です。
こんなことは言いたくないが、君の不安定な精神状態につきあうために、僕が仕事のどんなに神経をすり減らしたか!恩に着せているんじゃない。愛し合っているなら当然じゃないかと僕は言ってるんだよ。
「蒔野さん、こういう時ですから、遠慮せずになんでも言ってください。その方が、わたしも何をすればいいのか分かって助かりますから。」
どんな恋愛にも、その過程には、こうした装われた偶然が一つや二つはあるものである。そして、しばしばその罪のない嘘は、相手にも薄々勘づかれている淡い秘密である。
恋愛の小説でもう一度読みたい、映画も見たいと
こんなに余韻に残る小説は初めてです。
人とお別れをする時、結婚をする時、海外へ住むことになった時、
人生の節目みたいな時にまた読み返したいです。
40歳になる頃にももう一度読みたいです。
Sally