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『ダーク企業』へと病んでいく過程とは

前回の記事では『ブラック企業』とは別に『ダーク企業』というものがあり、それが社員を精神面から苦しめることを説明しました。

この『ダーク企業』は違法行為をするわけでもなく、むしろ良い取り組みをしているようにすら見えてしまいます。
当の社員すら率先してダークな取り組みに参加していますので、何となく苦しいのを「自分が悪い」と捉えてしまいます。
しかしこれが「組織の自浄能力の低下」をもたらします。
「旧日本軍」が陥った思考停止状態を例に挙げればわかりやすいでしょう。

それではなぜ『ダーク企業』は誰にも非難されずに社員を苦しめ続けることが可能になっているのでしょうか?

頭を抱えるリーマン

『ダーク企業』を生み出す価値観

ダークな集団は「同調圧力」の強い環境に生じます。
宗教の縛りが強い時代や地域、集団ヒステリー的状態にある集団(ナチス・ドイツや「赤狩り」のアメリカ)などはダークな空気が充満しています。

日本には元々「ムラ社会」というものが存在していて、現代の企業内にもしっかりと根をおろしています。
そこに属する人たちは全て何者かに支配されています。
支配者やリーダーといった存在か、特にそうした人がいなくても「総意」とか「空気」とかいうものに皆が支配されていて、とにかく自分に関わる判断を全て他者に委ねてしまっています。

その思考の空白地帯に「これがいいことなんだ」「これが当たり前なんだ」という根拠のない価値観がしっかりと根付いてしまっている。
これがダークな集団の土壌です。

『ダーク企業』の場合、「一生懸命働く」「不真面目は良くない」「無駄は無くすべきだ」「まずやってみよう」「組織なのだから上の言うことには従う」などの価値観が当然のこととして、疑われることなく受け入れられているのです。

まずトップが『ダーク化』する

バブル崩壊後に危機感を感じなかった企業トップはいないと思いますが、彼らは人知れず『ダーク化』の病に罹ってしまったようです。

別名「なにかやらねば病」
具体的な眼前の問題には目もくれず、どこかで聞き知った「取り組み」を社員にやらせようとします。
コストカットとスキルアップです。

ただしスキルアップは多くの場合「生産性の向上」という量的な視点から行われますので新たなビジネスの開拓には直結せず、広い意味でのコストカットにしかなりません。

元々企業トップは勤勉さだけで生きてきたような「蒸気機関車」みたいな人たちです。
「高度成長」というレールが途切れても猛烈にまっすぐ走ることしかできません。
レールが無ければいったん止まるべきなのに、彼には「新たな取り組み」というレールの幻が見えています。
彼は病んでしまっているのです。

病は「社内儀式」を通じて感染爆発する

企業トップは思いつきで始めた「取り組み」を儀式化します。
「まずやってみよう」とか「できない理由を探すな」とか「自責で考えろ」とかいうスローガンで社員を思考停止にした後、やることをルーチン化していきます。

毎朝朝礼、チームごとにミーティング、それでいて朝一で営業に出され、訪問件数は問われるけど中身は問われず、「プロセス管理」という美名の単なる「日報」はガッツリ書かされ、仕事量に関係なく決まった時刻までには事務所を追い出される。

全ては儀式となってしまいました。
「四の五の言わずにやれ」です。
昔の仕事というものはそれまでの経験からまあまあ合理性を維持していましたが、「新たな取り組み」の合理性は経験による検証を経ずに社員へ押し付けられます。

この押し付けを受け入れた時、病は社員にも伝染します。
「そうだよね~やんなきゃね~」「偉い人が言うんだからさ」という空気ができた時、ダークな空気は「社風」となります。

手錠で仕事

そして泥船は行く…

(あ、見出しは映画のタイトルじゃないですよ)

さてさて、見事ポジティブな意識が社内に定着したことを見て、いよいよ企業トップはスイッチが入ります。

【強引な残業削減】
残業や休日出勤は早退や振替休日で贖われるようになり、残業しても抱えた仕事は減りません。
自分で仕事の効率を上げるか、こっそり外で仕事するしかなくなります。
PCのログをごまかす裏ワザも考案されます。

【中身のない成果主義】
会社のミッションを達成した人はちゃんと評価しようとしますが増えた報酬の原資は無いので、優秀社員が多くもらった分普通の社員の報酬は少なくなります。
それでも「成果に応じた評価」ですから文句は言えません。
肝心の評価基準が「プロセス」とか「バリュー」とかの主観的なものであることも多いです。

【成功事例という幻想】
「優秀社員の取り組みは社員全体で共有せねば」というわけで、事例発表会や表彰式が増えていきます。
ですが共有されるノウハウは偉いさんの耳に心地良い内容が選ばれますので、大して目新しくもなく現実には役にも立ちません。

表彰式はどこから始まったでしょうか?
それは悪徳商法の社員集会ではなかったでしょうか?
やたらとモチベーションを上げ、自分たちがやっていることは悪くないと自分を信じ込ませる儀式ではなかったでしょうか?

これらの「取り組み」自体が悪いと決めつけることはできません。
ですが良いことだと感じるのにはどこか思い込みや思考停止といった「薄汚い」ものがベースになっているように思えるのです。
ですが多くの人はそれに気が付かず、盲人が盲人の手を引くようにしながら地獄への道を歩んでいきます。

自分だけは『ダーク化』しないようにするには?

あなたが『ダーク企業』にいるならば、それに逆らうのは相当難しいでしょう。
その環境を一人で変えるのはおそらく無理だし、自分が傷だらけになってでも戦うことに意味はありますか?
会社のために皆でやろうとしている良いことを否定するのですから、社員全員を敵にするようなものです。
時代の趨勢について行けない無能者と呼ばれるのは間違いないです。

それでもあなたが逆らおうとするのは会社の「取り組み」に無理があるのを素直に感じれる人であり、薄汚い人間になることを拒む人だからです。
ですから無理に会社や周りに合わせる必要はありません。
「嫌なものは嫌」で良いのです。
ヒーローを目指す必要など全くありません。
ですから会社となんか戦わず、すぐに会社を去る準備を始めましょう。

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無茶苦茶なことを言うように見えるでしょうが、これが答えです。
他にも「改心して会社に合わせる」とか「上手く会社と距離を取る」とかも考えられますが、おそらく解決にはなりません。
所詮対処療法ですし、今後もますます会社は無理を言ってきます。

これについて行ける人は生まれつき従順な人であり、日本人はそういう人が多数派なので社会問題にならないだけなのです。
でもあなたはそういう人ではありません。
ならばもはや逃げるしかないのです。

「それじゃあ生きていけないよ!」
そうかもしれませんね。でも腹をくくって下さい。
会社にしがみついても、あなたはそこでは生きていけませんから。

会社を去っても生きていける方法は、会社を去る覚悟ができた時見えてきます。
ネットにいろいろ情報はありますし、上手くいった人に教わることもできます。
怪しげな成功者でなくても、オンラインセミナーなどで身元がはっきりしている講師に教わることも可能です。
及ばずながらこのnoteでもヒントをお届けしていきたいと思います。

肝心なのはうなだれたままで生きていかないこと。
ダメなものにはさっさと見切りをつけて、新しい環境へ歩みだすことなのです。

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