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ロッキーロード(アイス)

作品紹介

2015年9月3日(木)上演、2018年2月10日(土)再演
一人芝居 上演時間約30分

 小林素子、十七歳女子高生、夏。
 彼女の好きなものは、世間の生存競争に負けて、尽く消えていく。
 そのことを諦めていた素子は、とある男子高校生との出会いにより、
 愛の存在証明をするべく、己の拳一本で立ち上がる。
 すなわち、ボクシング。

 戦い続ける全ての人に捧ぐ、叱咤激励ライブハウス一人芝居。

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こちらの脚本は現在無料でご覧いただけます。

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裏話

※こちらの項目は内容にネタバレを含むので、気になる方はご注意ください。


長らく作品作りを共にしてきたとある俳優が、演劇のライブハウスイベントに出て
一人芝居をやりたいので脚本と演出をつけてくれ、と言うので生まれた作品。

わたしが「どんな芝居をやりたいの」と聞くと、当時我々がハマっていた
シルヴェスター・スタローンの代表作『ロッキー』のようなものがいいと言う。
『ロッキー』はシリーズ物だが、彼は自身が一番好きなシリーズの評判が
良くないことにいたく腹を立てていた。
わたしも、自分が好きなものの本当に好きな部分を誰かと共感できた場面は
かなり少ない方の人間だった。
それならば、ロッキーのようにボクシングをやりつつ、
そういう気持ちを代弁するような作品にしようと思い至った。
そしてライブハウスという場所である意味ももちろん入れたかった。
男性役者の一人芝居でありながら女子高生が主人公なのは、
単純にその方がキャッチーだからと言うのもあるし、
なんとなく高校生でライブハウスへ行く人はマイノリティーだろうと思ったのと、
(もちろん大いに偏見ではあるが)
この俳優自身、女子高生のようなメンタルだと感じる面が多々あったからである。
具体的にどこがどうと言われると困るのだが。

見た目が厳つくて怖がられやすいのに、内面は女子高生、
ごく自然に、当たり前のように、「小林素子」というキャラクターは生まれた。
そして「小林素子」は、上演を経て、自分自身の希望の塊のような存在となった。

名古屋という狭い土地で演劇をしていると、
演劇総人口の少なさから、志や熱量を共有出来る人間に出会えることは稀である。
わたしは数少ない仲間がこの芝居に心を打たれた姿を見て、
結構真面目に、ああ自分は今、生きているな、生きていてよかったな、
と思ったのだった。

生き続けるには戦い続けるしかない。
何度折れても、自分が生み出した作品が、自分を励ましてくれる。
だからこれは、永久機関なのだ。
そんな独り善がりな思いが、他の誰かにも届いたら、
自分という存在の意味を、はっきりここに証明することができる。

人は一人でも生きていかねばならない、
でも一人では生きていけない、
その生き様を見てくれる「あなた」がいなければ成り立たない、
だからこそこの作品は”一人芝居”なのだと思う。

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