【今置かれた状況から現実を知る】スポーツの「顧客視点」とは何か?実際に取り組んだ事例から「顧客視点」を振り返る - 前編 -
こんにちは。佐藤奨(さとうつとむ)です。
先日、こちらのnoteで書いた記事を多くの方々に読んでいただきました。
関わるスポーツを「競技」と捉えているのか「商品」と捉えているのかでその取り組みが変わる。https://note.mu/2tomman/n/n362c583925e4
この記事は、これからスポーツは「商品」の視点、つまりは「顧客視点」で捉えた取り組みが求められているということを掘り下げた記事で、ここまでリツイート数は50、いいね数は100件を超え、3000名以上の方に読んでいただくなど、たくさんの反響をいただいています。
こうした発信をする一方で(お前はそれやってるのか?と言われそうなので..)私が関わるスポーツビジネスでは「顧客視点」をどう捉え、取り組んでいるのか、実際に取り組んだ事例について触れてみたいと思います。
ちなみに私が関わるYBP PROJECTはBMXの普及団体であり、どこかの協会や連盟に属している団体ではありません。また、山梨県の八ヶ岳の中で、国内で唯一のBMX世界基準コース「YBP」を、協会や行政の力を借りずに自力で運営している民間企業です。詳細はこちら
今回は、実際に取り組む内容を「顧客視点」の観点からどう「普及活動」を行なっているのか?について書いてみます。
「顧客視点」を考えるためにまず「現実」と向き合う
YBP PROJECTは、BMXの普及団体です。BMXの中の主にBMXレースという競技と、BMXフリースタイルという競技の普及に特化して2014年から普及活動を行なっている企業です。(YBPのコースは2013年8月に世界基準コースが完成)
上記にも書いた通りですが、山梨県の八ヶ岳の中で、国内で唯一のBMX世界基準コース「YBP」を協会や行政の力を借りずに自力で運営している民間企業です。
国内で唯一のBMX世界基準コースの運営に関与していることから、普段からBMXにおける日本代表選手や関係者たちがトレーニングに訪れるなど、日本トップ選手たちと触れ合う機会があり、その競技で世界のトップを狙って真剣に取り組む選手や関係者たちにいい刺激をもらえる大変貴重な日々を過ごしています。
その一方、私自身はこの活動を維持したり、普及していく立場(つまりビジネス観点でモノゴトをみていく立場)にありますが、活動を成長させ、世界基準コースを維持継続をさせていくために、この「現実」と向き合う必要があります。
「BMXが五輪競技であること自体が全然知られていない・・。」
普段接する方と話をするとき、スポンサー営業をするとき、メディア向けに競技の説明を行うとき、自分の知人に競技について話すとき、ほぼ全てに共通することですが、残念ながら、業界をちょっと外に出るだけで、競技のことも知られていないし、BMXが五輪競技であること自体が全然知られていないのです。
BMXってなんですか?あの道端でくるくる回っているやつですか?え?五輪でも開催されている競技なのですね。という無知回答のオンパレード。
私は元々がBMXライダーではないので、かつての友人や知人たちで周りにこの競技に取り組む人がおらず、今、私が何をしているのかをあまり理解されていません。汗(当然に、興味を持ってくれた友人にはちゃんと説明していますが..)
繰り返しますが、その競技で世界のトップを狙って真剣に取り組む選手や関係者たちにいい刺激をもらっている一方で、現実問題として、接する周囲の方々に、ほとんどこの競技のことを知られていないのが現状なのです。
スポーツとはコンテンツビジネスです。コンテンツビジネスというのは、「音楽アーティスト」や「映画」などと同じカテゴリに入るビジネスです。
つまり、多くの人が知らない「音楽アーティスト」や「映画」や「芸能人」は、世の中にどう受け取られるのか?どう楽しんでもらえるか?
世の中で作曲された音楽の中で、一生触れることがない音楽の方が多いでしょうし、知らないうちに放映が終わっていた映画もたくさん存在しています。
そうした同じくくりの中に「スポーツ」も存在しています。
スポーツとはコンテンツビジネスであり、エンターテイメントですから、誰かに喜んでもらってこそ。つまり「スポーツ」も「音楽」や「映画」と同じで、知られていなければ、誰も喜ばせることができず、存在しないのと同じ状態となります。
実際に、スポーツにおいては、箱根駅伝や、甲子園、日本シリーズ、サッカーW杯など国民的な行事にもなるようなイベント以外は、その他の多くの人にとって知らぬ間に大会がどこかで行われていることはザラです。
五輪競技であることすら多くの方々に知られていないBMXの場合は、多くの方々の視点(顧客視点)で考えれば、そもそも知らなれていない現実に向き合う必要があるのです。
「知名度」という尺度の中では、サッカーや野球、バスケやテニスなどと同じ土俵で考えてはいけないのです。
繰り返しますが、世界のトップを狙って真剣に取り組む関係者や選手たちにいい刺激をもらう一方で、コンテンツとしてみたときに、相手側が全く知らない可能性が高い、つまり「顧客視点」で捉える場合、そのスポーツがほとんど知られていないだろう、という「現実」に向き合い、その前提からモノゴトを考えることが求められるのです。
魅力ある競技であるという誇りは持ちつつ、「知られていない」現実と向き合うことが必要。顧客視点を考えるならば、そこから逃げてはいけません。
「現実」を考えた上でできることは何か?を考えること
「現実」を考えた上でできることは何か?というのは、これも繰り返しとなりますが、「知名度」という尺度の中では、サッカーや野球、バスケやテニスなどと同じ土俵で考えてはいけない。
つまり「知られていない」現実と向き合いながら「認知普及活動」を行う必要があります。
知らない競技を薦められる行為とは、これ美味しいから食べてみて、と、一度も食べたことがない料理を提供される感覚に近いです。人によっては、バッタとか幼虫とかと同じように、感覚的に受け入れ難いのに無理やり薦められているように感じさせる場合もあるでしょう。気をつけねばですね。
ではどうするのか?というと、新規に知っていただくケースでは、いかにして嫌味なく、その競技を知ってもらう流れを作るのか?が大事になります。
「顧客視点」で考える場合、競技の押し売りになってはいけない
どうしたら押し売りにならないのか。一言で表すなら「PR」の発想です。
つまり、関わるスポーツの普及を考えたときに、どうしたらその「競技」がどのように受け入れられるか?からアイデアを練ってしまいがちです。
しかし、上述した通り、相手はその競技のことを知らない人が圧倒的です。
「競技」主体のイベントになると、そもそもその「競技」を知らない、ですとか、興味のない人からしたら、スルーされる可能性が高まります。
競技の魅力を伝え続ける行為は、興味のない人からすると、下手したらそれが「押し売り」になってしまうのです。
それがメジャーな競技であれば「競技起点」であってもファン層を集められるでしょうけれども、目的が普及することにあるのでれば、「押し売り」にならないよう「競技」がどのように受け入れられるか?からアイデアを練る必要があります。望んでいないモノを人に薦められるほど嫌なことはないですからね。
以上が今回の スポーツの「顧客視点」とは何か?実際に取り組んだ事例から「顧客視点」を振り返る - 前編 - でした。
後編では、スポーツを「顧客視点」で考えた時「受動的」に受け入れてもらえる「起点」や「接点」を創出する方法や、また超大事な視点として「コンテンツトリブン」なコトを作ることが武器となる。その辺りを後編で書きたいと思います。
後編はこちら 【コンテンツトリブンかを意識する】
https://note.mu/2tomman/n/ncd2ccbf0221b
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