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「良い質問」について、色々な人の考えをまとめてみた

ここ最近、”「良い質問」をするにはどうすればいいか?”について色々調べているので、自分のメモとして少しまとめてみます。
※今後も気になる情報があれば都度追記をしていく予定です。

(振り返り)「良い質問」の3つの条件

まずは、先日書いた記事の振り返りから。齋藤孝さんは著書『質問力』で、「良い質問」を次の3つの条件でまとめています。

◆良い質問の3条件 1.具体的であり本質的でもある 2.自分だけでなく相手も関心がある 3.過去の経験と現在の文脈に沿っている

この条件でも十分参考になりますが、もう少し色んな情報から「良い質問」というものを掘り下げてみるのが、この記事のテーマです。

「良い質問」は相手に気づきを与える

まず、紹介したいのが粟津恭一郎さんの『「良い質問」をする技術』です。粟津さんはコーチングという視点から、相手にどんな質問をすると良いか、その質問をするにはどうすればいいか、を解説されています。

この本で言われている「良い質問」の定義は次のようなものです。

問われた人が思わず答えたくなる、新しい気づきを与えてくれる質問こそが「良い質問」なのです。

”問われた人が思わず答えたくなる”というのはまさに「良い質問」と言えそうです。また、”新しい気づきを与えてくれる”というのも、特にコーチングという視点ならではで、興味深いですね。

では、「良い質問」はどのように作るのでしょうか。本書では次のような”基本戦略”があると、説明されています。

より本質的には、 一人ひとりの「手に入れたいもの」「価値観」「よく使う言葉」が異なるから、質問も異なってくる、というのが私の考えです。そして、そこに着目するのが、「良い質問」を作るための基本戦略になります。
(中略)
「良い質問」をしたいなら、すなわち質問の相手に「気づき」を与えたいなら、相手にとって「新しい質問」「自分が問いかけたことのない質問」をすればよいことになります。

「相手に気づきを与えること」が良い質問だとすると、相手が普段、自分では問いかけないようなことを問いかけることが「良い質問」になるわけですね。齋藤孝さんの3つの条件でいう「本質的である」というところに通じるのかもしれません。

「良い質問」の大前提

次は、もう少しビジネス寄りの視点を見てみましょう。紹介したいのは、けんすうさんのこの記事です。

けんすうさんは自身のオンラインサロンで毎週サロンメンバーから様々な質問を受け付け、それに回答されています(余談ですが、私もサロンメンバーです)。内容は多岐にわたるものの、ビジネス関係の質問は多い印象です。その経験も踏まえ、けんすうさんはこの記事で「良い質問」とは次のようなもの、と言っています。

「正しい質問を、正しい人に、正しいタイミングで聞く」がベストなのです。

一見、齋藤孝さんの3つの条件と近いようです。ただ、もう少し記事を読んでいくと、

正しい質問
・自分が求めているものを明確にした上で質問する。
・調べてわかるようなことはNG
・自分で答えをだすべきこと(自分自身のキャリアとか)を直接聞くこともNG(メリット、デメリットを聞くなどはOK)

正しい人
・その質問について、一番正しい情報を持っている人
・聞きやすい人に質問するのはNG

正しいタイミング
・相手が質問に真剣に答えてくれそうなタイミング
・多くの場合、寝る直前に質問するのはNG(笑)

ということで、齋藤孝さんの3条件と若干違いがあるようにも思います。けんすうさんも「入力(質問)がミスってると、いい回答が得られない」という旨を書かれているので、その意味で「正しい質問、人、タイミング」は「良い質問」の大前提と考えるほうが良いかもしれないですね。

現状の違和感を変えようとするのが「良い質問」

脳科学者の茂木健一郎さんは著書『最高の結果を引き出す質問力 その問い方が、脳を変える!』では、「良い質問」について次のように書かれています。

現状へ違和感を持つ感情力。それに気づくメタ認知力。「どうするか」考える論理の力。
これらが一体となっていい質問が生まれます。

この定義は、質問の内容のみにフォーカスがあたっています。こうやって比較すると面白いですね。茂木さんによると「現状への違和感」を変えようとするための質問が「良い質問」ということになります。齋藤孝さんの「本質的な質問」、粟津さんはの「気づきを与える質問」、けんすうさんの「正しい質問」をより本質に近づけたような印象です。

茂木さんによって「良い質問」の本質が何となく見えてきました。このことをさらに具体的に解説するため、次の動画を紹介したいと思います。

As-IsとTo-Beが明確になっている

実業家でYouTuberの宇都宮隆二さん(Utsuさん)のチャンネルに「クズ質問をやめましょう」というちょっと過激なタイトルの動画があります。

この動画では「良い質問」をこのように説明しています。

良い質問とは、質問のもととなる「To-Be」と「As-Is」が明確になっている

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(図は動画より拝借)

動画では、

To-Beしかない質問は、そもそも相手が何を知っているのかが分からないから、どこから答えていいか分からない。
As-Isしかない質問も、相手がどうしたいから聞いているのかが分からないので、答えようがない。

と言っています。

As-IsとTo-Beのギャップはよく「問題」と定義されます。その意味で、Utsuさんの言う「良い質問」というのは”問題がちゃんと定義された上で、その解決につながる質問”とも言えると思います。

この動画でも一見、質問の「中身」について解説しているように見えますが、実はAs-IsとTo-Beを相手にちゃんと伝えることが大事、と相手とのコミュニケーション部分についても解説されていて、こちらもとても重要な指摘だと思います。

--2020/8/12追記-------

8月12日のVoicy グロービス経営大学院のチャンネルに『良い質問をする方法』というコンテンツがありました。

このコンテンツでは、特にインタビューの際に良い質問をするために意識すべきことを解説しています。それは

①相手に関する情報を、できるだけ多く収集してインプットする
②質問は「構造化」を意識して準備する

というものです。それぞれ解説します。

①相手に関する情報を、できるだけ多く収集してインプットする
インタビュー等では、質問の相手が決まっているので、まずは相手に関する情報を集めます。相手に関する記事や書籍がないか調べ、その内容を頭の中に入れます。

そうすることで相手の思考が見えてきて、「この人だったらこういう質問がいいんじゃないか」「この人だったらこのテーマはこう考えるんじゃないか」と仮説が生まれてくるので、それをぶつけるようにする、というものです。

②質問は「構造化」を意識して準備する
①で作った質問を、やみくもに相手に投げかけては相手も、他の聞き手(例えば講演会など)も、混乱してしまうので、どう質問するかも工夫が必要です。

例として企業経営に関するインタビューの場合、まずは「マーケット」に関する質問、次に「自社」に関する質問など、大きなテーマから入って、次にそのテーマの要素になる部分について質問することで、インタビューの相手や講演会の聞き手が迷子にならないようになります。

インタビューという特殊な状況での質問のコツですが、ここでもやはり「仮説」を持つことが重要だと感じました。どうやら「良い質問は良い仮説から」というのが一つのパターンのようですね。

ここまでのまとめ

ここまで、いろいろな角度から「良い質問」について考えてみました。簡単に整理すると、

1.質問は大前提のインプット(正しい質問、正しい人、正しいタイミング)が間違うと、いい回答が得られない

2.正しい質問は、「現状(As-Is)の違和感」を「どうするか(To-Be)」という問題解決の性質を持っていることが多い。

3.そのAs-ISとTo-Beを相手に伝えた上で質問することが大事。そうすることで、相手も答えたくなる。一方、相手に気づきを促したい場合は、普段その人が問いかけないような形での質問を投げかけるのが有効

4.相手にインタビューする際は、その人に関する情報をできるだけ集め、その人と聞きたいテーマに関する「仮説」を作ることが大事

という感じでしょうか。
これはあくまで自分目線で集めた情報をまとめたものなので、もっと別の考えや視点があるとは思います。もし、「こういう考えもあるよ」というのがあれば、ぜひコメントかTwitterで教えてもらえると励みになります。

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