「料理は愛」

だから、美味しかったのかな…。


母方の祖母の言葉で、未だに印象的な言葉がある。

それが、「料理は愛、愛情」ということ。


もともと、わたしは野菜嫌いで母をとても困らせる偏食家だった。

父親の偏食家のDNAをそのまま受け継いでしまったこと。
父方の祖母が、とても食べられない料理を強制的に毎週食べさせるという地獄の時間を過ごしていたこと。

その両方の原因があり、見事にわたしは偏食家になった。

けれど、母方の祖母や曾祖母は料理上手。
そして、わたしたち母子の事情をよく知っている祖母がよくこう言っていた。

「あんたら、美味しくないご飯ばっか食べて更にストレスになるからうちに来てご飯食べ!」
「もうゆっくり泊まって、おばあちゃんのご飯食べ!美味しいの作ってあげる!」

その言葉に甘えて、わたしたち母子はよく母の実家に行ってご飯を食べていた。

その中で、わたしが食べず嫌いかつ父方の祖母のせいで嫌いだった野菜があった。
それを大好きなものに覆したのは、紛れもなく母方の祖母であった。


わたしが大きくなって、祖母に聞いたことがある。

「おばあちゃんの作る、アレ、調味料ってどんな割合で作ってるの?アレを家でも再現したいから教えて欲しいんだよね。」

すると、祖母は意外にもこんなことを言ったのだ。


「私は、あの野菜は正直好きじゃないんよ。好き嫌い多いし。だけど、Nagomiちゃんには好き嫌いを少しでも減らしてほしいから食べさせてみたんよ。私のお陰で好きになってくれてよかった。」
「それに、料理ってモンは適当なんよ。分量とか関係ない。その時々で同じ分量でも味は変わるから、私は分量計ったことは一度もない。」
「家族のために、美味しいご飯を作ってる。皆が美味しい美味しいって笑顔になってくれりゃそれで良い。美味しいって言ってもらえればいいな、美味しくできればいいやって感覚だけで作るから、Nagomiちゃんが美味しいと思ったのならそれは私の愛情が込められてるからだろうね。」
「そう、料理って適当だし、愛情があれば美味しいと思うんよ。笑」
「あんたなら、美味しく作れるよ!だって私やおばあさん(曾祖母)、お母さんの血筋を引いてるから大丈夫。笑」

母方の祖母の言葉

祖母が偏食家なのも知らなかった。
けれど、皆の為に美味しいご飯を作ってくれていたことには本当に感謝している。

祖母の言ってた通りに、適当に作っても自分しか食べないからというのもあれど料理で失敗したことはない。笑

母方の血筋を多めに受け継いで良かったな…。


愛情なんて分からないし、愛されたことなんてない。
けれど、美味しいご飯を食べさせてもらっていた事は事実。
祖母から貰った【あたたかさ】は、これからも忘れずにいたい。


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