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もっとも人の本性に迫るジム

こんにちは。
2nd GYMトレーナーの五十嵐です。

人の本性が出るときはどんなときでしょうか?
お酒を飲んだときがまずまっ先に思い浮かびますが、トレーニング中もまた、本性が出やすいタイミングだと思います。なぜならトレーニングは、自分自身の肉体に負荷をかけることで、素をさらけ出さないと、取り繕っていては全力を出せないからです。

予約時間に不在のお客様

最近、あるお客様との会話でこんな内容から話が発展していきました。

「2nd GYMの会員様で、クレーマーとか、困ったお客さんとかいたりしますか?」

この手の質問が来たのは初めてでした。
難癖をつけるような方はいませんが、困ったお客様といえば、すぐにお一人浮かんできました。予約時間にインターホンを数回鳴らしても反応せず、ご連絡すると「仕事で連絡できずキャンセル」とのこと。最初は「何か事故に巻き込まれたのではないか?」と心配していましたがそうではありませんでした。よかったです。ただこの頻度が増えてきて、お客様の中でトレーニングの優先順位が下がってきている可能性があることが問題でした。

この方はもともと腰痛をお持ちで体が硬く、目的は減量と体力向上でしたが何より、腰痛が改善し、疲れが溜まりにくく体が楽になってきている状況でした。なので仕事の忙しいこの機会にトレーニングができなくなってしまうと、また一定期間を過ぎると体のこわばりが増し、腰痛をぶり返してしまってはもったいないと思ったのです。

この方に限らず、自宅をジムにするということは、自らジムに行くことと異なり、極めてプライベートであると同時に極めて公共性が低くなるということでもあり、トレーニングと日常がシームレスになります。

水は低きに流れ、人は易きに流れるもの

トレーニングに限らないと思いますが、何か新しいことを始めても、しばらく時が経って、その物事に慣れてくると、始めたころのモチベーションや意識は次第に落ちていきます。いかにそうならないように予め、気分に左右されない仕組みをつくれるかどうかが習慣化のカギになると考えています。

「困ったお客さん」ではないけれど、最近とくによく感じるのが、予約はキャンセルしないけれど、体調がいまひとつだから、「今日は軽め」とリラクゼーションやパッシブでのストレッチを希望されて、能動的にトレーニングをする機会と時間が減っている会員様が増えているように感じました。

どうしてだろうと考えてみると、一つの仮説にたどり着きました。

『目的の内容に関わらず、パッシブケアの多い人ほど離脱しやすい』

ということ。

これまで休会をされた方、退会をされた方などの傾向から、全員が全員ではないけれど、心が遠のいていく方はパッシブでのアプローチ(マッサージのように、トレーナーなど他者による施術)の機会が多いのです。トレーナーとして、肉体や精神が辛いときは、大きな筋力を発揮するようなトレーニングを提供するだけでなく、時にはマッサージを受けるようにリラックスしていただきたいという労いの意味でパッシブケアを提案し実施していました。がしかし、その心地よさや「自分自身で頑張らなくてもいいんだ」という逃げ道があることを知ると心に甘えが生まれ、払拭できなくなっていきます。

これが出張トレーニングではなく、過去に従事してきたジム施設においては、仰々しいトレーニング器具に囲まれているからなのか、周りが頑張ってトレーニングに励む中での特別感なのか、時折できるパッシブケアを重宝されることが多く、「こんなご褒美もあるからトレーニング続けよう」と、アクセントとして継続する上でプラスにはたらいていたように思います。

会員制出張パーソナルトレーニングにおいてパッシブケアは、惰性にはたらいてしまう可能性があります。

利便性の裏側にあるもの

2nd GYMは、継続を前提とした、会員制出張パーソナルトレーニングです。
渋谷区の端にある、代々木上原という、ファミリー層が多く、人口密度にゆとりのある、比較的世帯年収が多いエリアでサービスを提供しています。実際に会員様の中には帰国子女の方など海外居住経験者が半数ほどいらっしゃり、たまたま伺った学歴もみなさん高めで驚きます。経営者の方も数割いらっしゃいます。

これまで都内の品川区や足立区、港区、世田谷区での客層を見て触れてきましたが、もっとも上品で居心地のよいエリアの一つだと感じます。
そんな代々木上原というエリアに住まれている方々なので、お客様のほとんどが礼節を重んじ礼儀正しく気持ちよく仕事をさせていただいています。基本的に全てにおいて自分自身に責任はあると、自分の人生に責任を持っているような、そんな方々です。

けれども、始める前の高い目標意識も、得てして忘れてしまいがちです。

そもそも筋力トレーニングは、肉体に負荷をかけることです。できることなら負荷は少なく、軽めで「最大の効果を」と考えるのが人の心理というものです。ですが、「no pain, no gain」が実際です。

パーソナルジムでも大型ジムでも、ジムに通うなら他のお客さんやトレーナーがいるため公共性が高く身が締まりやすいです。まして単発での出張トレーニングならまだしも、2nd GYMは継続を前提とした形態です。そしてさらには他にトレーナーのいない、トレーナーが私ひとりだけであれば、なおさら自由度が上がり、その人の本性が出やすく、惰性に流されかねません。

パーソナルジムや大型ジムとは異なる、会員制出張パーソナルトレーニングであるがゆえの、お客様の精神への寄り添うことの難しさを改めて実感しました。そのことを踏まえて「アメと鞭」を上手に使っていかなければと考えさせられました。

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