充実した人生を送るための時間戦略「フルライフ / 石川善樹」【Yuの本棚①】
こんにちは!Yuです。
【Yuの本棚】自らを征服する読書体験
第一回は、予防医学研究者の石川善樹さんの新刊「フルライフ」について、内容を要約しながら、見習いビジネスパーソンの私が実践できそうなポイントについて触れていきたいと思います。
1.「フルライフ」の概要をサクッと1分まとめ
「フルライフ」はNewsPicksパブリッシングからの新刊で、著者は予防医学研究者の石川善樹さん。石川さんは、予防医学に始まり、行動科学、計算創造学からビジネスにおける事業開発まで、さまざまな分野へ提言を行っているマルチプレイヤーでいらっしゃいます。
【著者について】(Amazonより)
石川善樹(いしかわ・よしき)
予防医学研究者、博士(医学)
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。公益財団法人Wellbeing for Planet Earth代表理事。
「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。
専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念工学など。
さて、早速この本の内容に入っていきたいよ思うのですが、
この本のコンセプトを一言でいうならば、
「時間の使い方に戦略を持つことで、フルライフ(充実した人生)を実現しよう!」といった感じでしょうか。
章立てとしては以下のようになっています。
はじめに どうしたら一度きりの人生がフルになるのか
1章 仕事人生の重心は、すべて「信頼」にある
2章 生産性の重心をとらえる3つの「時間軸」
3章 創造性の重心は「大局観」にある
4章 人生100年時代の重心は「実りの秋」にある
5章 真のWell-Beingとは「自分らしさ」の先にある
本書では、「人生」というものは「絶対に後悔が生まれる」構造になっている、という前提のもとに展開されています。
というのも、限られた時間しかない人生においては、どうやらAorBで発生する「選択のジレンマ」とAandBで発生する「総取りのジレンマ」の2種類の後悔が常にあるというのです。
「A or B(選択のジレンマ)」はAかBかどちらか一方を選んだら、もう片方を捨てることになるという後悔。そのジレンマを乗り越えるには、「A and B」しかありません。
ところが、AもBもCも、あれもこれもと心のままにやりたいことを全部やっていくと、キリがない。結局一つひとつをやりきれず、「中途半端だったな」という後悔が発生してしまう。これが「A and B(総取りのジレンマ)」です。
そういうわけで、「フルライフ」という本のタイトルではありますが、時間が有限であるかぎり後悔のない「フルライフ」など存在しないということも事実であります。
だからこそ、「たとえ後悔が残るとしても、限られた時間の中、確信を持って進んでいくための時間戦略を身に着けていこう!」というのが本書の大いなるメッセージです。
2.ザックリPoint解説
本書では、大成するキャリアを形成するためには、人生を「3つのフェーズ」に分けて時間戦略を練る必要があると述べられています。各フェーズのザックリした内容は下記の通り。
【ハードワーク期】:「仕事」にフォーカスする時期。主に20代のとき。
ポイントは、下積みを重ねる時期ではあるものの、長時間働くロングワークではなく、「質の高い仕事(ハードワーク)」を沢山すること。
この時期に高めるべきパフォーマンスは、自分の武器となる専門性であり、業務上の能力。
【ブランディング期】:「私事」にフォーカスする時期。主に30代。
ポイントは、周りからの信頼を集め、仕事の幅を広げながら「自分というブランドを固める」こと。
このフェーズで高めるべきは、「人間としての魅力」。専門性と経験に寄った仕事ばかりになってしまうので、一度築き上げた専門性・領域の外に飛び出し、総合力・人間関係の幅を広げる必要がある。言い換えるならブランディング期は、「他分野からの信頼」を獲得するべき時期である。
【アチーブメント期】:「志事」にフォーカスする時期。多くの人にとって50代以降。
ここまでくると、自分の仕事をどんどん社会的に還元することができるようになる。
アチーブメント期になると、もはや自分自身の能力や人間的な魅力はあまり関係がなく、それよりも仲間の能力や魅力を磨くことに専念すべき。その上で、「私たちは〇〇を目指しています!」というビジョンを、「次世代の若い人」たちに、より遠くまで広められるよう努力することがポイント。
ハードワーク期で「深め」、ブランディング期では「広め」、最終的にはアチーブメント期で世の中に還元していくという感じでしょうか。
自分がやりたいことに注力して、本当の意味で世の中に貢献できるようになるにはとっても時間がかかるのですね、、、(遠い目)
私が新卒1年目の社会人ということもあるので、今回の記事では、「ハードワーク期」の時間戦略に焦点を当てつつ、実践法について考えていきます。
3.若手ビジネスパーソンに求められる時間戦略
ハードワーク期の時間戦略については、1日の時間の使い方、1週間の時間の使い方、年間での時間の使い方の3本立てで本書には記述されているのですが、今回はその中の「1日の時間の使い方」について考えていきたいと思います。
結論:「1日の重心は、仕事の始まりと終わりにある」
石川さんは1日の時間戦略の「重心」は、「仕事始めと仕事終わり」の時間にあると述べています。これは、重要な事実として「日中に起こることの多くは、自分ではコントロール不能」なことばかりだからです。
新卒のころは裁量権もない上に、日常業務に忙殺されており、ほとんど自身でコントロールできる時間はありません。自身でコントロールできないことについてあれこれ考えても無駄なため、コントロールできる部分を探してみると、仕事の始まりと終わりは数少ないコントロール可能な時間だとわかりました。
それでは、活躍しているビジネスパーソンは「仕事の始まりと終わり」の時間をどのように使っているのでしょうか?
上記の2つは、2019年に行われたビジネスパーソン5000人を対象とした調査結果の一部です。
旧来の考え方だと、出社するや一目散にパソコンに向かう人が「元気よく仕事に取り組んでいるなぁ」と思われていたかもしれませんが、調査結果は意外なものでした。バイタリティが高い人は、会社に来てまず、すぐに仕事を始めるのではなく、「同僚と挨拶を交わす」あるいは「ToDoリストの確認」を行っていたのです。
仕事の終わり方の関する発見としては、「時間になったから帰る」人は、バイタリティが低い傾向にありました。一方で、その日のタスクを振り返りながら翌日以降の仕事の計画を立てたり、身の回りを片づけ・整理整頓してから帰ったりする人は、バイタリティが高かったのです。
仕事の始め方と終え方の図を見比べるとクリアになるのですが、機械的に仕事に「流されている」ような人はバイタリティが低いです。反対に、自分の仕事を俯瞰したうえで、主体的に取り組んでいる人はバイタリティが高いという結果が出ています。
よって「うかつに仕事を始めない」、そして、「うかつに仕事を終えない」
この2つの重心を意識することが、1日を過ごす上での時間戦略になりそうです。
それでは、実践というアクションとしては、他にどのようなことが考えられるのでしょうか?
仕事始めは「ToDoリストの確認」に加え、一日の計画力が大いにパフォーマンスを左右すると考えられます。
仕事というものはつまるところ、計画・実行・検証の反復に尽きます。仕事ができない人はそれができておらず行き当たりばったり。1日8時間働くとして、ノープランで8時間働くのと、1時間プランニングしてから7時間働くのでは、後者の方が圧倒的に生産性が高いはずです。
新卒で入社してすぐに計画通りに仕事することは難しいですが、日々そのその日の仕事を俯瞰し、主体的にタイムマネジメント・プランニングを繰り返し行っていくなかで感覚を掴んでいかなくてはならないでしょう。
また本書の中では、1日の終わりに印象に残ったことを振り返る「To Feelの振り返り」を行うことを推奨していました。
1日を終えるときに、今日印象に残ったことを振り返るというものです。
そうすることで、今日という日は人生において、特別ではなかったかもしれないけれど、かけがえのない1日であることを実感できるようになります。その結果、人生の評価を高めることに繋がります。
また、この振り返りには副次的な効果もあります。もしも「うれしい」「楽しい」というポジティブな感情が月曜から金曜まで何もなかったら、それは何かを変えたほうがいいんだというシグナルです。
逆に、ポジティブな感情ばかりが続くときも注意が必要です。何か難しいことにチャレンジしていれば、必ず壁にぶつかります。そこで、「悔しい」とか「悲しい」といった感情が起こるはずですから、そういった感情を久しく体験していないというのであれば、最近自分はチャレンジしていないのかなと気づけるはずです。
この「To Feelの振り返り」は現場配属後も毎日実践していきたいですね。
4.終わりに
この記事では一部しか紹介していませんが、他にもたくさんの身になる時間戦略が紹介されています。詳細は本書で確認いただければと思います。
・社会的時差ボケを無くすために、1週間の始まりを土曜の朝にする
・3か年計画は2年目に重心を持ってきて、最大限レバレッジを利かせる
・「具体の世界」と「抽象の世界」を行ったり来たりすることでコンセプトを生み出す「大局観」を養う
etc
「人生100年時代」と言われようになっていますが、いざそのような社会が到来すると、「ただ単に長生きしてもしょうがない」とか、「人様のお世話になってまで生きたくない」という意見も散見されています。
医療の発達や格差の是正などが進んだことで、世の中から「ネガティブ」な体験は減ってきているものの、そもそも「ポジティブ体験」と「ネガティブ体験」は異なる概念であり、いくらネガティブ体験を減らしても、その結果ポジティブ体験が増えるわけではありません。
人類は「平均寿命」や「ひとり当たりGDP」などのデータを重視し、その改善を目指してきたものの「実感としての豊かさ」を感じられていないのが偽らざる現状です。
これから続く長い人生における「命の質(Well-Being)」を高めるためにも、一人一人が後悔を減らす時間戦略を実践していくこと大事になりますね。
まずは、土曜始まりのスケジュールを実践する為、金曜日の飲み会を控え、土曜日に備えたいと思います(笑)
最後までお読みいただきありがとうございました!
今後とも「面白い!」と思った本をシェアしていきたいと思います。
それではまたの機会に。
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