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お菓子の箱の中

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しまっておく。 ほかのひとの。
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2020年3月の記事一覧

十二度の歪みに酔い、山手線で冷める

 彼女の家の時計はいつも二分だけずれていて、だから彼女の家では毎時〇二分と三二分に鐘が鳴る。だいたい十度くらいずれた彼女の日々は、容赦なくわたしの暮らしにすべりこんでくる。

 「酔狂だね」
 耳元で掠れた、少し低い声がする。薄暗くだだっ広いホールの中に隣り合って座っていた。周囲を見渡してもほんの数人しかいない。若いカップルや女の子たちなんていなくて、小さい子どもを連れた家族と、おばあちゃんの団体

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