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記憶の在る場所

住み慣れた土地へ一時、戻った。

最近、ここのことを思い出してしまうことが多かった。
そんなに自分に染み込んでいたのかと驚愕した。
そして、「あそこに行きたい」と思っていたのだが、それらが叶った。



ついて、いつものようにぶらぶらあてもなく進む。
見慣れた景色に、ついこっそり独り叫びながら。

本当に、よく匂いの染み込んだ場所であった。
何に、って、道沿いの景色に。

「あーここ来た!」
「ここご飯きた!」
「こんなお店あったんだ!開拓できた!」
「ここはいつも赤信号」
「いつもここを帰った!」
「ここで買い物してた!」
「ここ!」
「ここ!!!」

「カモーン!!!!」


次々と見える【ここ】に、頭の中では、大坂なおみ選手がスマッシュをカコーン!カコーン!と打っていた。
そうかあ、私、この町の中にこんなに住みついてたんだ。

びっくりしたことに、「懐かしい!」があんまり出てこなかった。
むしろまだ住んでるみたいだった。同じ国にあるんだから、そういうことなのか?同じ土地なのか?



旅して愛着ある場所に戻ってみて、初めて「住み着いて町を覚える楽しさ」があるんだって知った。
旅に行くと、名物やお土産といった高いものばっかり買ってしまう。それはそれでいいけど、私が好きなのは、自分の嗅覚で開拓し、通い詰めて人生を捧げた、その土地の匂いなのかもしれない。。
おいしいご飯しかり。
自然の豊かさしかり。
いい人、いいお店しかり。
安さしかり。
ああ、暮らす楽しさってこういうことかな。
平凡に暮らすことっていいな。
味を、しめた。






いいことありますように!