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欲しい本が2冊あって、どちらにしようかと迷った挙げ句、結局どちらも買わずに帰ったあの日にぼくは本当の意味でぼくを知った。街の中でひかりを見つけるたびにシャッターを切ってしまうのは、まだどこかできみの光芒を追いかけているからかもしれない。カメラのシャッターを切ること、今日着る洋服を選ぶこと、パンにジャムを塗ること、それは祈りとよく似ている。と、ツイッターにつぶやくことも、この書きかけの文章をインスタグラムのストーリーに載せることも、ぼくにとっての祈り。早朝に目が覚めた時にだけ見ることができる青。カーテンから差し込むひかり。そのまばゆさ。希望。鳥の囀り。期待。カーテンをあける。祈祷。ひとびとが祈るのは夜だけど祈りに近いのは決まって朝。ぼくはいつ本当の光になれるだろう。生きててよかった、そう思える瞬間だけは、ぼくは、わたしは、誰かの「本当」になれたような気でいる。

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