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透かして見つけた19つ目の星

忘れたくない夜の数がぼくにとっての光で星で、それらを繋げる指先の透明な動きは紛れもなく祈りそのものだった。空書きをしてきみに伝える内緒のダブルミーニング。流星みたいに指を滑らせかけた呪い。この呪いの読み方を知っているのはこの世界にぼくときみだけ。深夜2時にふたりでなぞったあの歌詞がその夜の深さを本当にする。そのせいできっとぼくはこれからもあの夜のことを忘れられない。きみはこれもただのこじつけだって言って笑うのかな。忘れたくない夜が重なってぼくの生きる夜はどんどん暗く深くなってゆく。その暗闇に紛れてぼくはきみとかくれんぼがしたい。きみには見つけてほしいんじゃなくて見透かしてほしいんだ、しょうもないって言って笑い飛ばしてよ。きみからの返信を待つ間にそんなことばかり考えてしまうぼくのことをしょうもないって言って笑い飛ばしてよ。これも見透かされちゃうのかな、きみの瞳孔に映る光の反射でぼくの暗闇を全部透かしてぼくを暴いて。待って、ちょっと眩しい。眩しい?うん、ちょっと。じゃあ消す?うーん、でもこれじゃあ暗すぎるね。
どうかぼくが逸らしてしまうこの目を覗いて、捉えて、見透かして。

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