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日帰りで湘南から日本海へ   一般道シバリ(スタート編)

午前三時半
246のベリックのお店を右に曲がり須走に向かう
道の気温掲示板は6℃
山中湖は相当寒いはず
途中ゴルフ場を突き抜ける一直線の登り
モヤが立ち込め街頭もない暗闇
ヘッドライトのヒカリが白く丸く映る
アクセルを開ける
次々と丸い白を突き抜けグングン走る
現世からワープするような錯覚に陥る刹那
GROMの排気音が現実に引き戻す

猛烈に寒い
客の居ない深夜のコンビニに立ち寄る
真冬みたいに凍りついた手
缶コーヒーで温めインナーをグローブに追加する
タバコを吸ったら出発しよう
突然暗闇から軽トラが駐車場に滑り込む
降りた老人が店に入らずこちらに来る
「このバイクなんて言うんだ?」
GROMを気に入ったらしい
深夜4時のコンビニ駐車場
オッさんと老人のふたり深夜

カブ売ってGROM買うらしい老人に挨拶
コンビニを出る
タバコ三本分の時間が惜しい
多分気を急く自分に
ダレカが与えたナニカ
と納得する
いつのまにかモヤが消え星空
放射冷却ってコトバが身に沁みる
ドンドン進む
ガンガン寒くなる
たどり着いた籠坂峠の気温表示は0℃
何故か走ったコトない左折を選択

GROMのヘッドライトだけが頼り
午前四時の別荘地帯
暗闇から突然現れる曲がり角の街灯に驚く
ノーマルより光量増やしたPIAA バルブ
替えたがまったく足りない
時折オーバーラン
ソロソロとタイトなクネクネを降る
街頭に照らされた通りに出る
安堵も束の間
現れたのは誰もいない不気味な街並
一刻も早く国道に出たい
気が急く

LAWSONの看板にようやく安堵
交差点を左折し国道138を河口湖へ進む
暗闇で路面の凹凸が予測しにくい
自ずとスピードが控えめになる
同じ方向にクルマは居ない
GROMが指すライトが一直線に薄く伸びる
気温掲示板は相変わらず0℃
現れた富士吉田の街へ右折する
暗闇に浮かぶジェットコースター
そう言えばココのお化け屋敷は本物居る
誰かが言ってた…やなコト思い出す

空に青みが差し込む
振り返ると稜線にはうっすら紅み
夜明けが近い富士吉田の街中を抜ける
河口湖の湖岸を走る
いち早く山頂の雪に朝日をうけた富士山
神々しい山頂の白に見惚れバイクを停める
無茶で身勝手な旅の安全を祈る
コレもナニカの思し召しなのか
富士山を仰ぎながら御坂峠を目指す

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御坂峠への看板が見えた
気温掲示板は1℃
分かりにくい入組んだT字路を右折
緩やかな登りのワインディング
同じ方向に進むクルマを見つけ安堵する
前を走るスカイラインの丸いテールランプ
暗い峠を描くように揺れる
離れぬようアクセルを開ける
バタタタタァ
突然現れたヒカリのトンネル
飛び込むと生暖かい空気にカラダが解れる
さあ
これから長い下りが始まる

トンネルで蓄えた暖かい空気
少しずつジャケットから漏れ出す
GROMには広すぎると感じる国道137
グングン降る
ブゥ〜ンとエンブレ
バタタタタタァと加速
繰り返す排気音が静かな山に響き渡る
空が白み澄んだ空気
甲州街道までもうすぐだ
GROM侮っていた
なかなかヤルジャンとほくそ笑む

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