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地図作品「UBARA UTOPIA」

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2017年7月、勝浦・鵜原海岸

「鵜原理想郷」とは敷地付近にある実際の地名だ。施主の2人、都市史学者である兄とアートコレクターである弟の両者に捧げる、建築表現と芸術表現の混紡として製作した。すでに一種の職人術と化してしまった手描きによる建築図面表現を用い、敷地環境を緻密なドローイングとして描き出した。竣工時の集落と建築の姿を書き留めた記録でもある。この地図は障子絵として、鵜原ビーチハウス内の和室に設置されている。昼は外の光によって浮かび上がり、夜は行灯のように灯る。

建築を介したコミュニケーションの新しい形態の模索として、この地図を住宅のなかに組み込んだ。小さな建築が完成するまでに膨大なやり取りが行われ、沢山の人々が関わることは度々起こっていることだろうし、建築家にとっても珍しいことではない。しかしやり取りの軌跡や感情はその家族にとって一度きりのものであり、建築体験の重要な部分であると言えるのではないか。コミュニケーションのプロセスを通じた建築体験を、どのように記録し、後世に伝達することができるのか、について考え、行った試みの一つである。

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