回帰分析やってみる!? 「孫社長にたたきこまれたすごい数値化仕事術」


回帰分析やってみる!?

回帰分析は、簡単に言うと、二つの物事の関係性を数値的に把握すること。因果関係を数値で説明すること。そしてその因果関係から予測すること。例えば、「ある広告を出す時に、この広告をどれだけ出したら、どれだけ売り上げが上がるか」、「店を出店する時に、一日の通行量が300人の場所に出店したら売上はどのくらいになるか」の比例の関係をデータから確認して、売上の予測値を確認すること。
大学の統計学、計量経済学で学ぶことだが、実際に使うのは至ってシンプル。エクセルに広告の量や通行量と売上データを並べて入力して、散布図を出して線形近似曲線を書いてみて、最後に具体的な広告の量や通行量を入れて、売上を予測する。
この本には、普段はあまり使っていないが、簡単に使えて効果的な数値化仕事術が紹介されている。
データ分析・七つ道具として、プロセス分析、散布図と単回帰分析、重回帰分析、パレート図分析、T勘定、差異分析、LTV分析が紹介されている。プロセス分析やT勘定、LTV分析は著者がアレンジしたもの、差異分析はいわゆる要因分析(株式投資のパフォーマンス要因分析)である。

数値化メタボ

いわゆる経営会議などでは、部門別売上高や利益率などさまざまな大量のデータが用意されるが、これ本当に役立っているの?と言うことはよくある。実際にデータ集計に時間をかけるだけで役立っていないケースが多いと筆者も考えている。
最終的に実現したい目的に応じて、データ取得、集計、分類して、適切な分析を行わないと効果がでない。
また経営会議でなく現場の業務でも、数値分析の裏付けのないまま進めることで、合理的判断ではなく、上司や声の大きい人の合理性を欠いた判断で進んでしまうことがある。
このようなことを回避し、数値化生産性の向上につなげることに使うことが勧められている。

企画、マーケティング、業務プロセス管理やプロジェクト管理におすすめ

統計の話としては何となく知っているが、専門家が使うようなものだと思っていた数値分析も、意外に簡単に効果的に使えるのだなと思った。工夫次第と言うことだろう。数値分析の七つ道具以外にも、間違った数値化のワナや、数字に強い人は知っている理論・法則など、普段の仕事に役立てられるトピックが簡易に紹介されている。
また、「孫社長」あるようにソフトバンク成長戦略の裏側にある数値分析なども紹介されており、企画やマーケティングの人には特に役立つと思う。LTM分析などは、現代の流行りのビジネスモデルそのものと言う感じがした。
私もパレート分析を読んだ後に、パワポの資料にカテゴリ別に集計した棒グラフを載せたら、20%の要素が全体の80%を占める状態になっていて、非常に説明をうまく進められた。
今流行りの、ビックデータ分析、人口知能、機械学習ほどの高級感はないが、より一般的な人の仕事でも十分に活用できる実用的な本である。
またソフトバンクの戦略として、規模の経済を活用して一気に市場を占有して支配するやり方が紹介されている。Google, Amazon, Facebook等と通じる最近のビジネスの必勝パターンだと感じた。

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