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先進ヨーロッパのメッキ剥離

2024年02月14日

以下、抜粋記事は、ほぼ1年前、ドット氏が日本向けにかいた記事と思われるが、それは今でも有効である、という彼の視点だった。

その証左として一番はっきりしていたのがEV 車、シフトであり、将来に
渡って人類が存続するには「カーボンニュートラル」が必須であると、ガソリンを含めた地下資源使用を即刻辞めるべき、と世界にアピールしたのは、
誰もがハッキリ覚えている。

それから特急「浦島号」に載って地上に上がってみれば、世界は「その国」のEV車に席捲され、目論んだ世界市場は、願った方向には進まなかった。

当然、その前の、「一帯一路」構想には、色気だっていたことは否定のしようもなく、そのような限定「グローバル」構想は、見事にはじけてしまった。

ドット氏は、そのことを予言し、1年前にそれについて記事で言及していた。それは吉凶占いでもシャーマンでもない歴史家が導いた人類への警鐘だった。

グローバル化の夢は死にかけているエマニュエル・トッド

エマニュエル・トッドが「グローバル化の夢は死にかけている」と語る真意
:歴史家、文化人類学者、人口学者 日経ビジネス電子版 2023.3.13 3:40 https://diamond.jp/articles/-/318698

 家族制度や識字率、出生率に基づき、現代政治や社会を分析し、「ソ連崩壊」から「米国の金融危機」などを予言した、フランスの歴史家エマニュエル・トッド。彼の分析では、現在起きている戦争の背景に「グローバル化」という私たちのかつての夢があると言います。その真意を、最新刊『2035年の世界地図』(朝日新聞出版)で語った民主主義の未来予想図から一部を抜粋・再編して大公開します。

「グローバル化」という夢のあと

――中国と米国の対立は深刻化し、両国ともに経済の相互依存を政治的に切り離すデカップリングを進める機運があります。以前、しきりに言われていた「世界がボーダーレスとなり、主権国家は重要性を失う」という言説はどうなったのでしょう。グローバル化は終わったのでしょうか。グローバル化の夢は潰えたのでしょうか。

 グローバル化の夢は、死にかけています。

 もはや人々はグローバル化を天国のようには考えていません。人々はそれが社会にとてつもない格差を生み出したことを知ってしまったからです。しかし一方で、先進国と途上国との間に一定の新たな平等を作り出しました。

 私は2つ指摘しておきたい。まず、グローバル化がもたらした現実です。世界の労働者階級の多くは中国にいます。今、世界の労働者階級のおそらく25%は中国にいます。グローバル化の中で国際分業が進み、世界の生産を担っているのは、中国の人々なのです。

 もう一つの大きな部分はインドなどです。欧米や日本といった先進国の経済は、工業(に伴う生産活動)から脱却し、サービスや研究などに集中しています。この構造から抜け出せないでしょう。先進国の国民は労働者として生産の現場へ戻れるでしょうか。

 私は、米国でトランプが政権を握ったという事実に大いに興味を持っています。彼は単に中国をやっつけようとしただけではありません。米国の工業生産能力の再構築を目指していたのです。だから、中国との貿易において保護主義的な措置をとりました。

 もちろん、オバマ政権がやろうとしたことからの継続的な要素も多くありました。そして、バイデン政権もトランプのとった保護主義的な側面を持つ政策を捨て去ったわけではありません。

 しかし、統計的にみると米国が工業での一定の自立を回復する兆しは見られません。

 エマニュエル・トッド 歴史家、文化人類学者、人口学者。1951年フランス生まれ。家族制度や識字率、出生率に基づき現代政治や社会を分析し、ソ連崩壊、米国の金融危機、アラブの春、英国EU離脱などを予言。主な著書に『グローバリズム以後』(朝日新聞出版)、『帝国以後』『経済幻想』(藤原書店)、『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』『第三次世界大戦はもう始まっている』(文藝春秋)など。部分抜粋記事



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